『野球肩って何!』第5話!
みなさんこんにちは。羊ヶ丘病院整形外科の岡村健司です。
今回は野球肩に多い肩関節前方不安定症(亜脱臼)についてお話しします。
野球肩で起こる肩関節前方不安定症というのは繰り返す投球動作が原因で、肩の前の方がゆるくなって、ボールを投げる時に痛みや違和感(肩が抜けそうな感じ)が起きる状態のことです。投球動作のコッキングから加速期にかけて肩関節は過外旋され、その反動で肩の前の方に大きな力が加わります(図1)。
投球動作を繰り返していると常に肩の前に大きな力が加わり、肩の前の関節包がゆるんできて肩が前後方向にブレるようになります。このブレを押さえるために肩関節のまわりの腱板が働きますが、頑張りきれなくなると腱板自体も傷んでしまいます。また肩の関節包には肩の安定性に重要な役割をしている靭帯や関節唇があります。前方へのストレスが大きいとこの靭帯や関節唇が切れることがあります。特に投手の場合はボールを投げる頻度が他の野手に比べ圧倒的に多いので、肩の前方の障害が出やすいです。
前方不安定症の診断は外来診察で容易にわかります。ただ投げすぎによるものなのか、外傷(けが)が原因で起きたものなのかを判別するために、念のためMRIで調べます。
症状は投球時、コッキング期から加速期での肩の痛みや亜脱臼感です。
治療はまずは肩を休めてあげることが必要です。肩甲骨周囲の筋力訓練、腱板訓練(インナーマッスルエクセサイズ)を行い肩のぶれを軽減させます。痛みが強ければ、痛み止めの薬を処方し、炎症止めの注射をします。しかしこのような保存治療を行っても症状が改善されなければ、はがれた関節唇や緩んだ関節包を手術で修復します(図2)。
手術は小さな傷3か所から内視鏡を入れて行い1時間程度です。入院は2-3日です。手術後は肩のリハビリを行い、手術後3ヵ月で投球を再開し、約6か月で試合に復帰します
【リハビリ室スタッフ紹介】
リハビリテーション科
●阿久澤 弘(31歳)
~スポーツとの関わり~
中学校1年から専門学校までサッカー一筋!
リハビリテーション科
●須貝奈美子(31歳)
~スポーツとの関わり~
小学4年生からバスケ一筋!最近まで社会人チームでも活躍!
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