上級者の戦い! 静かなるセンバツ決勝ウォッチ!

甲子園
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史上3校目のセンバツ連覇を目指す大阪桐蔭。
決勝直前の2試合を逆転で勝ち抜き、甲子園を味方につけた智辯和歌山。
オールドファンにとって、大阪vs和歌山といえば、浪商と箕島を思い出すが、平成の御代では大阪桐蔭と智辯和歌山となる。
春の晴天の中、4万人近くが集まった第90回センバツ甲子園の決勝戦。
試合を通じて長打は1本、エラーもあったが、静かな静かな決勝戦だった。
試合後、大阪桐蔭・西谷監督が「見ている人にはわからないと思うが、思う通りにならず、もどかしい展開」と語ったのが全てを物語っている。
まるで、真剣を持った武士同士が、微動だにせず心理戦を戦うかのよう。
まさに、上級者同士の対決、もっといえば優勝の二文字の為に、逆説的だが勝敗を超えたイデオロギーのぶつかり合いとも見えた。
しかし、大会の主役は一人だけと言っていいだろう。
2年連続決勝最後のマウンドには、近年屈指のスター選手の名を欲しいままにしている、大阪桐蔭・根尾昂がいて、文字通り2年連続優勝投手に。
偏差値70を誇る秀才は、背番号6をつけマウンドに上がり、打っては5番、投げては決勝戦を完投し、ネット裏に陣取る子供達の拍手喝采を浴びた。
表情を崩さず、大きなアクションもせず、淡々と投げる姿は「さりげなさの美学」さえ見え隠れしてしまうほど、惚れ惚れする選手だ。
古来、日本には「能ある鷹は爪を隠す」や「秘すれば花なり秘せずば花なるべからず」など、奥ゆかしく、またさりげなさを表す日本ならではの表現があるが、まさにこれこそ「根尾スタイル」と呼びたくなる。
デカデカと、時にはフェイクにさえ思える大袈裟な記事よりも、この決勝戦で見せてもらった「本物」は、純粋に感謝の気持ちでいっぱいにさせてくれた。
佐藤 大(北海道日大高~札幌大)
北海道KWB野球連盟/副会長
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