旭川中央BBCが被災地応援!大リーグTシャツ寄贈へ
道内のポニーリーグで活躍する旭川中央ベースボールクラブは、東日本大震災の被災地の野球少年たちを励まそうと、同チームと関係の深い米大リーグ・ダイヤモンドバックスの本拠地、アリゾナ州フェニックス市で募金活動を展開し、気仙沼市の中学校などにダイヤモンドバックスのTシャツ500枚を寄贈する被災地応援プランを進めている。アメリカでの募金活動は、今季日本人選手として初めてダイヤモンドバックスに入団した仙台出身(東北福祉大-東北高)の斎藤隆投手や地元フェニックス市の野球関係者らが中心となって行われており、集まった募金でTシャツを購入する計画だ。今月29日に同チームの奥山吉仁総監督(51)がフェニックス市を訪れ斎藤投手と会い、被災地の野球少年と旭川中央BBCの選手たちが返礼の意味で寄せ書きした「僕たちも頑張るから、斎藤投手も新天地で活躍してください」との応援横断幕を手渡す。大リーグTシャツは春休みの3月下旬、奥山総監督とナイン11人が被災地の中学野球部などを訪ねてチーム、選手にプレゼントする。道内での募金活動も行っており、詳しくは奥山総監督(携帯090-4870-4773)まで。 (取材・中山武雄)
ダイヤモンドバックス移籍の斎藤隆投手と支援連携
奥山総監督の心を揺さぶった被災地応援のきっかけは、NHKテレビが今年1月に放映した「日本人メジャーリーガーの群像 故郷に捧げるマウンド~ブリュワーズ斎藤隆~」の番組だった。その内容は、斎藤投手と高校時代に対戦したことのある、現在被災地の気仙沼津谷中学野球部のコーチを務める気仙沼高OBの芳賀秀行さん(42)が、地震・津波で家族らを失うなど衝撃的な被害を受けた野球部員たちを、あこがれの斎藤投手の活躍で励ましてほしいというメッセージをブログに送った。それまでの斎藤投手はシーズン初めから太ももを痛めるなどで不調に陥り、引退まで考えていた。しかし、自分の活躍が被災地の子供たちを元気付けることができるなら、と発奮し中継ぎ、ストッパーで奮闘しチーム・ブリュワーズの29年ぶり地区優勝に貢献した。そして昨年のオフに気仙沼津谷中を訪問し、野球部員らと交流を深め、励ましたたというものだった。
「頑張る被災地の子供たちを応援したい」奥山総監督
たまたまそのテレビを見ていた奥山総監督。辛い思いをしながら頑張る野球少年たち、子供たちを励ます斎藤投手。胸が痛くなるほどの感動が伝わってきた。プロとアマの違いはあるが、「同じ野球人」として「何かをしなければ・・・」との思いがどんどん膨れ上がってきた。しかも、その斎藤投手が、旭川中央ベースボールクラブと深いつながりがあるダイヤモンドバックスに移籍することが決まっている。「これも野球がつなげる絆」だ、と感じて早速、ダイヤモンドバックスの知人を介して斎藤投手に協力を呼びかけたところ、「喜んで協力しましょう」と募金活動になり、被災地の野球少年へのTシャツプレゼントにつながった。
旭川中央ベースボールクラブとダイヤモンドバックスの本拠地があるフェニックス市の野球少年たちの交流は2004年からと深い。米側からは少年チームが4回も来旭、さらにダイヤモンドバックスのコーチも来て、日ハム教室の講師を務めるなど、親密な関係を築いてきた。旭川側からもダイヤモンドバックスのキャンプに1度参加したこともあり、道内少年野球チームでは唯一の日米の交流を図っている。今回の募金活動には、来旭したことのあるフェニックスの選手たちの父母らも協力しているほか、ハワイ、ロサンジェルス、ピッツバーグ市の関係者も参加している。
「募金はお金を集めることが目的ではない。被災地の子供たちを支援する、つながりの輪を広げることが一番の励みになる」。震災直後から、家を失い家族を失った子供たちのことが心配でたまらなかった奥山総監督。昨年9月、自ら被災の東北3県を訪問、車で1000キロを見て回り、その悲惨さを目の当たりにしてきた。そして今月13日、テレビの舞台となった気仙沼市津谷中野球部を訪問し、斎藤投手にメッセージを送った芳賀コーチと野球部員に会ってきた。立ちはだかる困難にも、夢を持って明るく生きようとする部員たちの姿を見てホッとすると同時に、逆に斎藤投手を励ます「寄せ書き横断幕」を全員が協力してくれたことに、2度、3度の感激を受けて帰ってきた。この29日には、旭川と気仙沼市の野球少年たちの心が詰まった「寄せ書き横断幕」を携えて渡米する。3月9日までフェニックス市を中心に滞在、斎藤投手らに会って募金活動をしてくる。そして、春休みの3月下旬に自チームの中学生11人を連れて3泊4日の日程で気仙沼市津谷中などを訪れ、ダイヤモンドバックスのTシャツを贈ることにしている。自チームの選手たちを帯同させるのには深い理由がある。「災害の恐ろしさや、人は助け合って生きなければならないことを知ってほしい」と。わずかな時間でも、ボランティア活動を体験して、震災の悲惨さを学んでもらいたい、という気持ちからだ。Tシャツ配布も「できるだけ多くの野球少年たちに贈りたい」と毎日、新聞や被災地情報本などを見て選定先をピックアップしている最中だ。「被災地の復興はまだまだ遠い」と顔を曇らす奥山総監督。道内からの熱い支援活動にも大きな期待を寄せている。