東雲、九回決着つかず抽選で代表決定戦へ 篠路ライオンズは涙

九回戦って尚も決着つかず抽選でブロック決勝に駒を進めた東雲ファイターズナイン
◆高円宮賜杯第39回全日本学童軟式野球大会 兼 第48回全道少年軟式野球 札幌支部予選
▽ブロック準決勝・東雲ファイターズ(5)5-5(4)篠路ライオンズ=18日、美香保C球場
美香保C球場で第5試合目がもつれにもつれた。
東雲ファイターズが大会規定により抽選で篠路ライオンズに勝利し、第1ブロック代表決定戦に駒を進めた。
代表決定戦に進む同チームは6月9日、美香保C球場で藻岩ライオンズと対戦する。
※イニングスコアはコチラ
東雲ファイターズ、激戦制しブロック決勝進出
七回終わって1-1の同点で八、九回と無死一、二塁タイブレークを行うも決着つかず5-5同点。
抽選により5-4(10-9)で東雲が勝利し、ブロック決勝に駒を進めた。
東雲は3点を追う九回、無死一、二塁で4番・瀧口大智(6年)の場面でバッテリーミスから二、三塁と好機が広がった。
ここで瀧口の強烈な内ゴロが敵失を呼びボールは右中間を深々と破り三走・黒澤怜生(6年)に続いて二走・三浦楓雅も生還し2点。
打った瀧口も三進と1点差に迫った。
次打者が内ゴロで倒れ一死となるも続く6番・小野悠真(5年)が、しぶとくセンター前に運び三走・瀧口が生還し同点。
一気に勝利の機運が高まった東雲が抽選に勝利した。
投げては先発の小野投手が五回、2安打1失点の好投で六回からエース瀧口投手にリレー。
瀧口は安打を許すも一走へのけん制死でピンチを潜り抜けるなど好投を続けた。
昨年、全道少年軟式野球大会ベスト8で沸かせた東雲が、今年は全道大会の主役を目指す!

投打で活躍した瀧口投手
<発行人チェック>
5年生・小野悠真投手の頑張りは大きい。
美香保公園球場での戦いは大人用にセッティングされたホームベースを制する者が勝利するとも言われる。
通常の学童用のホームベース38、1センチに対し、大人用のホームベースは43、2センチ。
本来ボールのはずのボールがここではストライクとなるわけだ。
対策を間違えるとたちまち相手の投手の術中にはまってしまう。
今日の5年生・小野投手は外のコントロールが抜群。
篠路ナインが首をかしげる場面が何度もあった。
5年生ではあるが、コントロール、ボールのキレ、安定感は現時点でもさながら6年生のエース級と言える逸材。
今後の活躍にも注目したい。

投打で活躍を見せた小野投手
柴田監督の懐の大きさ
九回の篠路の攻撃で二死、二、三塁の場面。
ここまで3打数2安打1長打の3番・高橋英汰(6年)を迎えるも東雲ベンチは決して逃げることなく勝負の構え。
一塁が空いていただけに十分満塁策はある。
ところだが勝負し、結果は右中間を破る2点タイムリーを浴びる結果になった。
しかしこの結果に臆することなく東雲はその裏、チーム一丸で3点を奪いに行きその3点を奪った。
この勝利で東雲が得たものは大きい。
試合後、柴田良記監督は「まだ小学生ですし、いつも逃げずに向かっていくようにと話していますから」と話してくれた。
激戦も素晴らしかったが、随所に柴田監督の懐の広さを感じた試合でもあった。
選手にとってこうした経験は大変貴重でありその後の野球勘においても大きな骨格を生むものと勝手ながら考えてしまった。
大概は目の前の勝利を優先しがちで中々できるものではない。
抽選の結果、野球の神様が僅差で東雲に味方した。
今後の東雲の活躍に期待したい!

東雲ベンチ前
篠路ライオンズあと一歩で涙
常に先制し、追いつかれても粘り強く攻守で戦い抜いたライオンズ。
大会規則の前では敗れはしたが野球では負けていない。
エース高橋英汰投手(6年)を中心に捕手の中谷隼斗(5年)、遊撃手の高橋悠真(6年)、中堅守の本郷楓雅(6年)などセンターラインを中心に堅守が光った。
攻撃のバリエーションに課題が残ったがとても良いチームだ。
また観戦したいチームだ。

ピンチを切り抜けベンチ前に集まる篠路ナイン

堅守でホーム救った中谷捕手
激戦に敗れるも最高の輝きを放った高橋英汰投手
エース高橋英は身長160センチから投げ下ろすキレの良いストレートを武器にストライク先行で東雲打線を追い込んでいった。
攻撃でも3番を担い自らのバットと俊足を生かした足攻で好機を広げるなどこの日一番の輝きを放っていたように思う。
試合に敗れるも紛れもなく<注目選手>。
試合後、高橋は「全力を出し切った。もう一度東雲と戦いたい」とスッキリした表情の中、気持ちの強さも見せてくれた。
独特の速いテンポで打者を追い込んでいく様は現役時代21年間、西武ライオンズ一筋の西口文也投手と被った。
スピード、コントロール、フィールディング、マウンドでの安定感はどれをとっても学童野球のAもしくはSだ。
また打撃でも状況に応じ、バットを短く持ち右方向に力強い打球を放つなどバッターとしても際立った。
今後も<注目>したい!
〇高橋英汰(たかはし えいた)
小学1年生の時、兄・飛向(中学3年・札幌北シニア)の影響で篠路ライオンズで野球を始める。
当時は東北楽天ゴールデンイーグルスの松井裕樹投手に憧れた。
投手
右投げ、右打ち。
160センチ、45キロ。
家族は両親と兄の4人。

注目選手・高橋英投手
協力:札幌軟式野球連盟