2012・ゴールデンウィ-ク、聖光学院ウォッチ!
2011年、伸びのあるストレートとプロ級のスプリットで甲子園を沸かした歳内投手。
被災地であるにも関わらず全国区の戦いを見せ、一躍全国の野球ファンの知るところとなった福島県代表の聖光学院。その類まれな才能と、超高校級のボールを引っ提げ、歳内投手は阪神へ。
一方の聖光学院は、2012年の新学期に60人を超える新入部員を迎えることに。
その聖光学院が今年のゴールデンウィ-クに来道することは野球ファン(マニア!?)なら周知の事実。
その全てを追いかけることは出来ないが、札幌での帯広大谷戦を観戦。
帯広大谷の先発はエースの鈴木投手。
この鈴木投手も北・北海道の隠れた逸材。
183cm80kgの体格からは、良い意味で予想できない低めへのコントロールが持ち味。
「数字」には表れないが、低めにしかこないストレートは特筆すべき最大の長所といえる。
まず、試合の前に到着から振り返る。
聖光学院の選手達は、バスから一人づつ降りるや深々と「礼」。
もちろん、どこの選手も高校野球人の「礼」は素晴らしいが、こちらの想像を超える「礼」は、やはり気になる。
その後、駆け足でグラウンドへ向かい、もちろん一人づつ「礼」。
道具を運び入れてからの素早さや、アップへと向かう選手達の「はつらつ」とした佇まいは、さきほども触れたが、やはり気になってしょうがない。
しかし、一番気になったのは、ありがたいことに甲子園でもお馴染みの試合用ユニフォームを着てくれたこと。
ささいなことだが、野球ファンにとってはたまらなく、胸がときめく。
さて、試合はグラウンドコンディションが悪い中、また小雨が降る中でスタート。
両チームともバットが「振れて」いるのか、試合は得点の奪い合いで進む。
終わってみれば、帯広大谷が10-9で競り勝ったが、印象としては試合に勝って勝負に負けた感じか。
特に聖光学院のバッティング。
本当に一人として「打ち損じ」はしない。
まず、2ストライクからの空振りがなく、全くといっていいほど三振が取れない。
試合をバックネット裏から観させてもらい、試合後は帯広大谷バッテリーとも話したのだが、アウトを取れたのは全て「際」にコントロールされたボールで、少しでも「中」に入るとバットの芯を食い、ヒットまたは正面をついた時のみアウトに出来る。
9イニング全てで。
さすがに久々、驚いた。
「型」にはまりすぎていると、「型」を気にするあまり空ぶってしまう。
追い込まれてからの聖光学院の各打者の粘りは素晴らしく、まさに「型」にはまらずボールに「ついて」いっている。
しかし、このバッティングとは難しく、フォームにおける土台となる「型」がなければ「型」も外せない。
逆説的に聞こえるが、そういうことだとしか言いようがないから、本当にバッティングは難しい。
予想以上に素晴らしかった聖光学院。わざわざ福島から、もちろん自チームの強化と調整の為に来た北海道遠征だが、対戦相手に与えた影響も大きい。
特に、一球といわず打ち損じをしない打者を相手に9イニングを完投した、帯広大谷・鈴木投手が一番の収穫を得たはずだ。
佐藤 大(北海道日大高~札幌大)
日高ベースボールスクール/代表