苫小牧選抜・石川、完璧な投球で勝利導く

石川投手(苫小牧選抜)=(写真・チーム提供)
コロナ禍、苫小牧市で開幕した北海道学童軟式野球都市対抗戦~EZO CITY THE BATTLE 2020~の準決勝、決勝が1日、とましんスタジアムで行われ決勝では苫小牧選抜が優勝候補に挙がっていた札幌選抜を1-0で下し、2年連続優勝に輝いた。
苫小牧は初回1点先制すると先発・石川瑛二郎投手(沼ノ端スポーツ少年団・6年)が、札幌相手に今シーズン一番の投球を見せ強力打線を封じ込めた。
石川将一監督は「決勝の相手・札幌は、個々の実力でもダントツで上だったが、先発の石川がボール先行しても粘り強い投球を見せそれをバックがよく支えた」と大一番での選手たちを称えた。
最優秀選手賞MVPに石川投手が選ばれた。
同チームは来年2月に兵庫県淡路島で行われる全国大会に昨年度のチャンピオンとして全員で優勝旗を返還する。
11月は完全休養し、12月から全国に向け再スタートする。
石川(苫小牧)今シーズン一番の投球
苫小牧は初回、二死二塁のチャンスに4番・南 彪亨(拓勇ファイターズ・6年)が、レフト線を破るタイムリー二塁打で1点先制。
この虎の子の1点をエース石川瑛二郎投手(沼ノ端スポーツ少年団・6年)が、100キロ前半のキレのあるストレートで札幌打線から凡打の山を築き、六回と1/3を3安打1四球の無得点に抑える今シーズン最高のピッチングで2年連続優勝に導いた。
実は石川投手、2回戦の岩見沢戦に先発。
本来の腕の振りには遠く及ばず、ボールの伸びはもちろんコントロールも悪く初回に2失点で1回1/3の内容で降板した。
リベンジの場は翌日の決勝で-。
この日は打者に対し、しっかり向かっていく姿は迷いが無く、本来の腕の振りが蘇り、スピードボールは最速108キロを計測した!
打者ひとり一人に向かっていく姿はバックで支える仲間たちに勇気と力を与えた。
五回、札幌選抜・先頭の7番・桜田彪真(白石リトルファイターズ・6年)の一塁線を抜けそうな強烈な当たりを南が、体制を崩しながら横っ飛びでキャッチ。
六回、札幌選抜・先頭の1番・丹場祥平(東16丁目フリッパーズ・6年)のレフト大飛球を大人の定位置で守る石村剣士朗(北光ファイターズ・6年)が、背面ダイビングキャッチと石川の好投を攻守で応えた。
また石川投手のお父さんでもある石川将一監督の手腕も書かせていただく。
初回の虎の子の1点をもぎ取った4番・南は練習試合から2回戦まで代打に甘んじていた選手。
しかし打撃練習での速いボールへの対応力を見て石川監督のヒラメキで大会2日目の準決勝からいきなり4番に抜擢した。

南(苫小牧選抜)=(写真・チーム提供)
チーム結成から選手たちには「常に笑って“笑顔”で戦おう!とにかく楽しくやろう。せっかく選ばれたんだから、心から野球を楽しんで野球をやろう」と伝えた。
大会前2週間は週5日公式練習を行い、ほぼ守備とバンド練習に費やした。
打撃練習は大会3日前の3日間だけだ。
石川監督が目指すやりたい野球を時には時間止めて選手たちに注入していったという。
決勝で魅せた苫小牧ナインは決して堅くなることなく、むしろ奥行き感のあるのびのびとしたプレーで会場を大いに沸かせた。

2年連続優勝の苫小牧選抜=(写真・北海道チャンピオンシップ協会提供)
札幌選抜、紙一重で涙
準決勝で強豪・旭川選抜を逆転の4-1で下し、勢いに乗る札幌選抜は昨年の思いを胸に決勝に臨むも初回、1点先制を許し0-1で迎えた四回。
二死から5番・菅原歩夢(東ハリケーン・6年)が、左中間を破る二塁打でこの試合チーム初ヒットでチャンス作るも後続が倒れ無得点。
五回には一死から8番・吉田葉月(川沿ファイターズ・6年)に代わって代打・嶽石渉太(北都タイガース・6年)が、センター前で出塁するも無得点。
最終回の七回、先頭の4番・吉川慎之助(東16丁目フリッパーズ・6年)が、大人のライト定位置で守る苫小牧・神の遥か頭上を越えるライトオーバー三塁打で絶好の同点機を迎える。
次打者内ゴロで倒れ一死三塁から6番・寺町颯太(東16丁目フリッパーズ・6年)が、粘って粘った8球目を見事に捉え火の出るようなあたりを三塁横に放つも苫小牧・三塁手の大宮悠生(北星有珠の沢ホークス・6年)が、はじくことなくキャッチ。
三走・吉川が帰塁する前に三塁キャンバスにタッチされダブルプレーでゲームセット。
満を持して3年ぶり2度目の優勝を目指した札幌選抜だったが、まさに紙一重で涙した。
同チームの活動はそれぞれの自チームの活動を終えた夕方4時から夜9時まで続いた
練習を重ねるたびにチームの結束力も高まり選手ひとり一人がチームのために何ができるのか問い始め自チームでは中心選手でありながら率先して裏方に回るものいた。
こうした選手の成長は渡辺 敦監督(44)の野球以外の指導によるものが大きい。
試合直後、大粒の涙を流した選手たちだが、この短期間で身につけた人としての成長はとても尊いものなったはずだ。
これから始まる中学野球での活躍に大いに期待したい。

準優勝の2020札幌選抜=(写真・北海道チャンピオンシップ協会)
次こそは咲かせてください勝利の華を!