
最終回、高橋投手が最後の打者を三振に斬って勝利した瞬間。=(写真・チーム提供)
◆高円宮賜杯第41回全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)
南北海道大会・決勝:岩見沢南ビクトリー9-6東16丁目フリッパーズ(5日、北斗市運動公園野球場)
岩見沢南ビクトリーが過去6度の優勝を誇る東16丁目フリッパーズを9-6で下し、初の南北海道大会を制した。
同チームは8月16日から新潟県で行われる全日本学童マクドナルド・トーナメントへ南北海道代表として出場する。
5日に行われた決勝は降雨の中行われ、岩見沢南の先発・横田晃大(6年)、奥山勇太(6年)、赤坂一耀(6年)、高橋晃佑(6年)による粘投があった。
7回裏、二死満塁とピンチ招き絶対王者の猛反撃を辛くもかわし、逃げ切った。
坂下賢一監督(54)は「先制されるも決勝と言う大舞台で選手が落ち着いてプレーしていた。しかし最後の打者がアウトになるまで勝てると本当に思えなかった」と激闘を振り返った。
◆決勝(5日、北斗市運動公園野球場)
岩見沢南ビクトリー(南空知)9-6東16丁目フリッパーズ(札幌)
岩見沢南ビクトリー
0232011=9
3003000=6
東16丁目フリッパーズ
(岩)横田、奥山勇、横田、奥山勇、赤坂、高橋-高橋、横田
(東)佐藤、小保内、八村-木村
▽本塁打:矢野(東)
▽二塁打:幸嶋恵、奥山、武田(岩)、八村、相馬(東)
最後の最後まで、絶対王者・東16丁目のプレッシャーに耐え続けた。
六回まで9安打を浴びながらも、三回以降リードを許さなかった岩見沢南は七回まで延べ6人の投手をマウンドに送り込んだ。
6人目の高橋投手が、簡単に2人を内ゴロで打ち獲り二死走者なしとするも1、2、3番に三者連続四球で二死満塁。
ここで、これまで4打数3安打1本塁打を放っている4番・矢野 秀(6年)を迎えるも開き直った高橋の気迫が勝り、見逃し三振に斬ってとり最後は全員で歓喜を爆発させた。
東16丁目の得点が入らなかった2、3、5、6、7回は総て得点圏に走者を置く厳しい状況の中、岩見沢南ナインは浮足立つこと無くひとつ一つ丁寧にアウトを重ねた。
同チームは週4日、岩見沢南小学校グラウンドで16時~18時半まで平日練習を行っている。
監督の坂下氏は同小学校の教諭であり学校生活においても選手と共にすることで選手と指導者の距離は極めて近く互いの信頼関係も厚い。
昨年、札幌ドームで行われたFBC-U12・準々決勝では東16丁目と対戦し、1-10と大敗した。
しかし今回のメンバーの中で当時レギュラーとして5人が出場。
それらの経験が見えない力として決勝で表れたと言える。
昨年は、新型コロナウイルス感染拡大により全国大会が中止され、新潟で2年ぶりの幕開け。
「舞台が変わってものびのびと南ビクトリーの野球をプレイボールからゲームセットまでやってきます」と笑顔で力を込める。
今大会、チーム一丸で掴んだ南北海道の代表権。
どこでプレイしても身の丈勝負で挑む岩見沢南ビクトリーに大いに期待したい!

初優勝の岩見沢南ビクトリー=(写真・チーム提供)
試合序盤が大きなポイント
<1回の攻防>
岩見沢南)
先頭の1番・幸嶋恵輔(6年)のライト前と犠打で二進。
次打者四球で一死一、二塁から4番・赤坂がセンター前を放つも東16丁目の中堅手・内海旭陽(6年)、遊撃手・相馬 翼(6年)、捕手・木村の中継でホーム手前タグアウトで無得点。
東16丁目)
先頭が敵失で出塁すると2番・八村莉玖(6年)のセンターオーバー二塁打で二、三塁。
ここで3番・相馬の内ゴロで三走・木村が生還し1点。
さらに敵失に乗じてこの回3点を奪い東16丁目が先制した。
<発行人>
岩見沢南は良い形から4番の一振りで何とか先制点の欲しい場面でホームタグアウトの嫌な展開。
逆に東16丁目は敵失に乗じて理想的な得点を挙げ好スタート。
<2回の攻防>
岩見沢南)
先頭の6番・松本旺士(6年)、続く7番・中井尊琉(6年)らが連続敵失で出塁。
次打者倒れ一死一、二塁から敵失と1番・幸嶋のライト前タイムリーで2点を奪いあと1点と迫った。
東16丁目)
先頭の9番・内海が敵失で出塁し、二死三塁までチャンス広げるも後続が倒れ無得点。
<発行人>
北斗市運動公園野球場はかなり弾むグラウンドの印象。
叩きつけるバッティングで内野の頭を超すシーンを大会1、2日目は度々目にしていたが3日目は雨の影響を受け、ほとんど弾まなくボールが止まる状況へとコンディションの変化。
この状況に岩見沢南のバンド含む揺さぶりが効果的となっていた。
「勝てば全国」と重圧の中、常勝・東16丁目とは言えグラウンドコンデションと気持ちの焦りが相まって失策が重なった。
選手たちの心境は失点を重ねる度に変化していった。
逆に追いかける立場の岩見沢南ナインは1点差に迫ったことで手ごたえを掴み始める。
<3回の攻防>
岩見沢南)
四球と敵失から5番・奥山が犠打で一死二、三塁のチャンスを作る。
一気に同点、逆転の機運を高めた!
ここで6番・松本、7番・中井、8番・高木 洸(6年)らの3連打で一挙3点を奪い逆転した。
「フリッパーズ相手に下位打線で得点できたことは大きい。ここで流れを掴んだ」と坂下氏。
東16丁目)
3-5と2点を追う。
先頭の4番・矢野がレフト前とバッテリーミスで二進。
次打者内ゴロの間、一死三塁。
ここで6番・佐藤の内ゴロで三走・矢野が、ホーム生還狙うも球審からはノータッチの宣告を受け無得点。
<発行人>
三回までの攻防で明暗が分かれた。
悪条件の中、これらを逆手に自分たちのペースに手繰り寄せた岩見沢南に対し、初回3点先制するもその後、追加点を奪えず流れを掴めない東16丁目。
岩見沢南は四回、4番・赤坂のタイムリーなどで2点を加え、さらに六回、七回と効果的に加点した。
一方東16丁目は四回、4番・矢野のレフトオーバー3ラン本塁打で一時は6-7と1点差に迫るも、その後のチャンスを生かすことができず涙した。
東16丁目、マック夢断たれる
一度追いつければ一気に畳みかける力量を持ち合わせている東16丁目。
「どこかでひと山作れると冷静に判断していたが、六回あたりから泣き出す選手が出てきた。思いの強さが裏目に。普通じゃいない感情が、コントロールが出来なくなっていった。岩見沢南の思いの強さにやられました」と悔しがった。
「もうひと工夫して、この悔しさを糧にもう一度全国を狙えるチームを作りたい」と前を向いた。
試合後のミーティングではすでに北海道代表が決まっている和歌山県高野町で23日に開幕を迎える「高野山旗全国学童軟式野球大会」での優勝を大きな旗印に変え士気を高めた。
同チームは21日に北海道を発ち同日、大阪府代表の長曾根ストロングスと練習試合を行い大会に備える。
初戦は1回戦・滋賀県代表の「城陽スポーツ少年団」に決まっている。
他にも18日に開幕を迎えるFBC-U12特別枠予選では連覇が懸かる。

南大会・2回戦の東16丁目ナイン
<発行人>
東16丁目がマックで負けたのは2013年大会以来。
佐藤、高橋を擁して札幌支部代表として出場し、準決勝で拓勇ファイターズ(苫小牧支部)に2-6と負けを喫して以来である。
マック8年ぶりの悔しさを思い知り、再びひと皮むけた東16丁目に注目したい。
協力:岩見沢南ビクトリー、東16丁目フリッパーズ