スポーツ整形外科に聞け!

野球肩って何!? 第3話 どうして起こるの?

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 野球肩って何!? 第3話 どうして起こるの?
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip

今回で3回目となる『野球肩って何!』どうして起こるのか・・・?症例を例に、羊ヶ丘病院 理事長・副院長岡村健司ドクターの協力の下、引き続き紹介させていただきます!もしやすでに痛みを感じている選手は必見ですよ!もしかするとすでに野球肩の疑いがあるかも?

理事長・副院長 岡村健司ドクター

みなさんこんにちは。羊が丘病院整形外科の岡村健司です。

前回、野球肩がどうして起こるのか、投球動作のフェーズ(投球相)を例にして、お話ししました。ボールを投げる動作の5つのフェーズで肩にいろいろな障害が起こる可能性があるとお話しました。今回からは具体的に野球肩とはどこが悪くなって症状が出るのかひとつひとつ疾患を取り上げていきます。今回は、野球肩の原因の中で最も多いインピンジメント症候群についてお話しします。“インピンジ”という言葉は日本語では”衝突“という意味です。症候群というのはシンドロームとも言われ病名と考えてください。つまりインピンジメント症候群とは衝突病です。一体ボールを投げると、どこがどこに衝突するのかこれからお話しします。前回の投球フェーズを思い出して下さい。

図 1

図2

投球フェーズのレイトコッキング期で肩が最大に外旋した位置(肘が頭の後方に来るトップの位置)からボールを加速してリリースしフォロースルーまでの間に肩は最大外旋から急激に内旋されます(図1)。この時、肩関節には前方に大きな力が加わります。特に、肩の開きが早かったり、肘が下がって肩にあそびができ肩がぶれると前方へのストレスがより大きくなります。前方に大きな力がかかると腕の骨(上腕骨頭)が屋根の骨(肩峰)に衝突し、その間にある腱や滑液包が炎症を起こしたり、損傷が起きます(図2)。したがって痛みはトップからリリースする間に肩の前方に起きることが多いです。

図3

ここでインピンジメント症候群をより理解しやすくするために肩関節の構造について少しお話しします。肩関節は人の関節の中で最もよく動く関節です。よく動くということは逆に不安定であるということです。したがって肩の周りには肩関節をしっかり安定させる筋肉や靭帯、腱が発達しています。特に腱板は肩関節の周りを取り囲みしっかりと肩を支えている4つの筋群(筋肉―腱)で、一般的にインナーマッスルと言われています。腱板の外側には肩峰下滑液包(けんぽうかかつえきほう)という袋があり、腱板が屋根の骨の下をうまくくぐれるようにすべるクッションの働きをしています(図3)。野球選手の肩のトレーニングでは盛んにインナーマッスルトレーニングが推奨されます。それは投球時に肩をしっかりと安定させて肩の“ぶれ”が起こらないようにするためです。ボールを投げすぎると腱板は疲労して肩をささえる力が弱くなり、肩がぶれてインピンジを起こしやすくなります。特にピッチャーやキャッチャーはボールを投げる機会が多いので腱板が弱ってインピンジメント症候群になりやすい傾向にあります。実際、野球をしている子の肩の診察をすると腱板、特に棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)の筋力が弱っている選手をよく見かけます。それではインピンジメント症候群にならないためには弱っている腱板を鍛えるインナーマッスルトレーニングだけをすればよいのでしょうか。実はそんなに単純なものではありません。腱板は肩甲骨から出てくる筋肉です。ですから土台である肩甲骨が不安定だとうまく腱板を鍛えることはできません。例えればぐらぐらした土台(肩甲骨)の上で腕立て伏せ(腱板訓練)をしているようなものです。ですから腱板を鍛えるには、まず肩甲骨周囲の筋肉トレーニングをして、肩甲骨がしっかりするようになったら腱板の訓練をすることが多いです。

インピンジメント症候群の治療はまずは肩を休めてあげることが必要です。つまり根本原因である投げすぎを止める必要があります。軽症なら1-2週間のノースローで完治します。同時に投球に負けない肩を作るために肩甲骨周囲の筋力訓練、腱板訓練(インナーマッスルエクセサイズ)を行います。筋力訓練は最低2ヵ月行わないと効果は認められませんので根気よく行う必要があります。ノースローや筋力訓練を行い、投球フォームを矯正(肩の開き、肘の位置)することでほとんどのインピンジメント症候群は改善します。しかしシーズン中で長期の安静や治療期間が取れない選手で、どうしても試合に出なければならないような場合は、痛み止めの薬を処方したり、炎症止めの注射をして急場をしのぐ治療をする場合もあります。しかしこのような保存治療を3-6か月行っても症状が改善されないような慢性的なインピンジメント症候群の選手では手術を行うことあります。手術は小さい傷(7mm)から内視鏡を入れてインピンジメントの原因となっている肩のゆるみを取るために関節包を縮めたり、慢性炎症を起こしている肩峰下滑液包を切除します。腱板が損傷していれば修復します。手術は30分ぐらいですが入院が2-3日必要です。手術後は肩のリハビリを行い、手術後3ヵ月で投球を再開し、約6か月で試合に復帰します。20年前よりこれまで多くの野球選手にこの手術を行い高い復帰率を得ています。野球に必ず復帰できますが、手術後にポジションを変更したり、野球のレベルを落とす必要のある選手もいます。

やはりインピンジメント症候群を起こしている野球肩の選手では早い段階でのリハビリ治療が最も重要であると考えます。次回は野球肩に多い関節唇損傷についてお話しします。

【リハビリ室スタッフ紹介】

理学療法士 橋本浩樹さん

リハビリテーション科
●橋本 浩樹(26歳)
~スポーツとの関わり~
小学校時代は小4から大学まで野球を一筋!高校野球では茨城の高校に通い甲子園を目指しました!3年時では4回戦で甲子園出場を果たした土浦湖北高校に破れ高校野球を終えました。

発行人から
とても明るく場を和ませてくれる橋本さんケガで落ち込んでちゃダメですよ!と言わんばかりで、野球の話題では盛り上がりそう!

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
医療法人社団 悠仁会 羊ヶ丘病院
札幌市豊平区月寒東1条19丁目1番1号
TEL:(011)853-2211 FAX:(011)856-7760
詳しくはホームページはこちら
アクセスはこちら
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

ストライク発行人 大川

関連記事

  • 関連記事がみつかりません

コメント

まだコメントはありません。

コメント入力

※コメントは管理者が認証してから反映されます。

札幌大谷中学校

おすすめ記事

ベースボール北海道STRIKE
このバナーをあなたのHPにご自由にお貼りください。リンク先は下記のアドレスに設定してください。
https://www.strike-web.com/
発行人の中学野球ブログ
ようこそ発行人のガーデニングブログへ
  • 札幌スタジアム
  • フェニックスフィールド
  • ファイターズアカデミー
  • 札幌軟式野球連盟
  • 全日本リトル野球協会 リトルシニア北海道連盟
  • 三愛自動車
  • 北海道高等学校野球連盟
  • JBF 日本中学生野球連盟
  • ボーイズリーグ 東日本ブロック北海道支部
  • 北海道女子軟式野球連盟
  • 北海道シャンピオンシップ少年野球協会
  • 北海道野球協議会
  • ポニーベースボール北海道連盟
  • 札幌市中学校野球協議会
  • 西宮の沢バッティングパーク ピッチャーガエシ
  • 白石区少年野球連盟
  • 北海道中学軟式野球連盟
  • ノースジャンボバッティングスタジアム
  • 大成会
  • 広告募集
伸びしろいっぱい!少年野球がんばれ!
有限会社北杜土質
代表取締役 鈴木幸洋
札幌市白石区菊水7条4丁目2-24
TEL:011-815-6008
等身大の全力プレー!がんばれ少年野球
有限会社札幌土質試験
代表取締役 近藤政弘
札幌市白石区菊水7条4丁目1番27号
TEL:011-812-6871
一生懸命の野球少年、応援します!
株式会社たかはし
代表取締役 高橋武美
〒062-0052
札幌市豊平区月寒東2条11丁目6-6
電話:(011)858-5301
中学硬式クラブチーム
【PR】札幌新琴似リトルシニア球団
新入団員募集!
【自ら考える野球】
選手同士で飛び交う指示の声、そこにはすべてに目的ねらいがあり意味を持って挑戦する選手たちの姿があります。

《団員募集中》土日祝日
何時でも大歓迎です。また平日練習の見学・体験も可能です!
球場:札幌市北区新琴似町無番地
(マツダ球場)
室内:札幌市東区丘珠町638番地

【連絡先】
生嶋監督:090-3115-4285
中学硬式野球クラブチーム
【PR】札幌栄リトルシニア
新入団員募集中!
札幌栄リトルシニアは、平成29年度よりリトルシニア北海道連盟に所属する硬式クラブチームです。

選手は東区,北区を中心として市内各区から集まり、火曜・木曜の平日練習と,土曜・日曜・祝日で練習および試合を行っています。

【チームスローガン】
「挨拶、返事、全力疾走、フルスィング」
【団員募集中】
土曜,日曜,祝日(9:00~17:00)
平日,火曜,木曜(18:00~21:00)
何時でも大歓迎です。また平日練習の見学・体験も可能です!
【練習場】
練習場(室内):札幌市東区丘珠680-118

【お問合せ先】
 札幌栄リトルシニア:事務局 野 口(携帯) 090-2057-5635
 (平日は18:00以降にお願いします)
Array
【PR】蝦夷ベースボールクラブ〈追加体験会の開催〉
中学軟式クラブチーム新チーム誕生
「蝦夷ベースボールクラブ」


 今年、札幌を中心に活動する中学軟式クラブチームを立ち上げました。

監督は理学療法
士であり、中学硬式野球チームのコーチ経験もある多田が務めます。

多田監督は、「スポーツ選手として野球選手として医療人として北海道の野球になにができるか、残せるか、変えられるか、チームとしても個人としても挑戦という思い、そして中学、高校野球に携わらせて頂く中で、高校野球にむけて中学野球をどう過ごすか、過ごしたかが大事である」ということを指導理念としています。



 また、コーチ兼トレーナーには、多田監督の他に理学療法士3名がおり、コーチ陣も野球経験豊富な方がいるため、指導体制には自信を持っています。
 
 このような環境で野球がしたい、このような指導者に任せたいという方は、まずは体験
会にお越しください。



 選手募集の対象は、新中学1年生(現小学6年生)~新中学3年生(現中学2年生)とします。


 また、10月20日の体験会には多くの皆様にご参加いただきありがとうございました。

試合がありなかなか参加できないとのお声をいただきましたので、追加で体験会を下記のとおり開催いたします。

なお、体験会は何度でも参加していただいて構いません。

体験会に参加していただける方は、お電話若しくはメールをください。



◎第2回体験会
 2024年11月2日(土)
  午前の部 9:30~12:00 (12名参加予定)
  午後の部 12:00~14:30 (2名参加予定)まだまだ募集中!!
 場所:拓北野球場
    札幌市北区篠路町拓北162番地24

◎第3回体験会〈追加〉
2024年11月10日(日)12:30~15:30
 場所:藻南公園
    札幌市南区川沿10条1丁目2番

◎第4回体験会〈追加〉
 2024年11月17日(日)9:30~12:30
 場所:藻南公園
(11月10日と場所は同じです。時間は違うのでご注意ください。)

〇服装、持ち物
 ・ユニフォーム、スパイク(公式用練習用は問いません)
 ・グローブ、バット
 ・個人の飲み物

〇注意事項
 体験会開催日に天候不良等により中止若しくは変更があればインスタグラムにて告知い
たします。

 【Instagram】https://www.instagram.com/ezobaseballclub2024/
 監督 多田 学
  理学療法士
  松田整形外科記念病院内メディカルフィットネスC-Link勤務

〈野球経歴〉
 ・東海大四高校(現東海大札幌高校)において、捕手として活躍
  主将として南北海道大会に出場(ベスト8)
 ・札幌大学において、全日本大学野球選手権に出場(ベスト8)
  リーグ戦では、ベストナイン(指名打者・外野手)を受賞
 ・三愛病院、土佐清水病院において、社会人軟式野球で活躍
  国民体育大会(千葉国体)出場、高知県代表で出場

〈コーチ経歴〉
 ・札幌羊ケ丘シニア ヘッドコーチ
 ・東海大札幌高校 指導者兼トレーナー
 ・札幌新陽高校 指導者兼トレーナー
 体験会の参加やチームへの問い合わせ先
 蝦夷ベースボールクラブ理事 木村

 ℡090-7059-0637 e-mail:ezo.baseball.club@gmail.com
 お気軽にお問い合わせください。
グローブ
ボール