公立校が魅せた快進撃!(新川高等学校)
公立勢として、秋季全道大会出場!そして全道ベスト4まで駆け上がった『新川高校』次々と強豪校を倒した監督・選手の素顔に追った!
伸びのある直球を武器に打たせて取る先発深尾と制球力のある帰山の継投で札幌支部予選を失策1と堅い守りで、ピンチにも動揺しない野球で全道出場。全道2回戦では帯広柏葉にコールド発進。準々決勝では45年ぶり出場に沸く富良野高に対し2-2の同点で迎えた9回一死から斉藤が中越え三塁打で出塁。続く相馬の打席で暴投の間にサヨナラで勝利!創部33年目で秋の全道初勝利から勢いそのまま、4強入りを果たした。(書き手:大川祐市)
秋の全道高校野球大会!全道10支部の厳しい予選を勝ち抜いた代表19校が10月3日~10月9日まで札幌円山球場・札幌麻生球場で開催された。来春の選抜甲子園大会出場を確実にした、後志支部・北照高校が優勝し幕を閉じた。
個人の能力としてはかなわない相手でも、チーム一丸となったときに勝つことができるのが団体競技の醍醐味!今回は公立高校としては最高位まで勝ち上がった『新川高校』の強さの秘密を探った!強豪私学と全道で戦う新川ナインは賞味一日2~3時間の練習でどのようにチーム力を高めてきたのか・・・、取材した。
新井田監督とは
監督:新井田 猛 50歳 (札幌開成高等学校-北海道教育大学)
高校・大学と内野手として活躍し大学では1年生から四番打者として活躍した。しかしその裏にはケガに苦しみ悔しい思いもあったようだ。大学卒業後、1984年春から美香保中学校に赴任(5年)-1989年春から上篠路中学校に赴任(7年)この中学野球12年間で、全道大会4回出場。全市大会準優勝2回と経験し、貴重な中学軟式野球現場を知る。その後1996年春から北海道平岸高等学校定時制に赴任(7年)しかし赴任当初は野球部と言っても開店休業状態だったそうだ、まずはメンバー集めから「外野に飛ぶと目をつぶっていました」と。そんな選手たちを束ねて、全国大会3回出場。印象的なのは、「全国大会から帰ってきた選手たちはとても良い顔して帰って来たのを覚えているなぁ」2003年4月から札幌新川高等学校に赴任、4月からコーチとして同年9月より部長として翌2004年4月から同校監督に就任した。今年で9年目を迎える名将は、この秋の全道大会5年ぶり4回目出場そしてベスト4の快進撃を魅せた。
◎三年間の考える野球!
●感性を広げる、1年目
野球をする意味・高校野球をする意味、野球を通じて何を!攻めと守りが分業しているのはなぜか?野球はなぜ9イニングあるのか?新井田監督は選手に問う!
すると・・・、
『すべて準備』することが重要であることに行き着く。
野球の場合複雑なプレーも数多くある、狭殺プレー(ランダンプレー)・けん制・バントシフト・エンドラン・攻めも守りも双方色々な準備を用意して臨む。相手が色々なことをしてくることに対して準備をしなければいけない!そういう相手の出方を感じることが重要だ。
相手を観察する、色々気づく、会話する、目配せするなど日常生活で、感じ考えていないと分からないことを、新川高校では意識的に行っていた。
~日常に向けた指導~
『ゴミ拾い』
赴任当時から指導の一環として行っている学校内外のゴミ拾い。冬場は雪かき!大雪の日なんかは「近所で困っている人がいたら助けて来い!」と新井田監督からの指令。またゴミ拾いでは、最初ゴミ拾いなんて・・・と、バカにして拾わない生徒がほとんどだった。そこで「教室の中にあるゴミを10個拾いなさい」というとイヤイヤ拾う。するといかに教室の中にゴミが多かったかを生徒は知る。今まで何にも感じていなかった生徒が、感じ始めた瞬間。
『あたり前基準が上がる!』
教室・廊下・家の中・自分の部屋に気づきが生まれる。最初イヤイヤ拾っていた生徒が自然に拾うようになる。今まで見えなかったものが、見えるようになる。
街中のゴミを自転車に乗って拾うわけにはいかないが、公共の空間でこんなことできたら素晴らしいよねと伝えている。
これらは何もライフスタイルを変えずにできる事、直ぐにできる事。
~野球も同じ!~
気をつけて見ることで、今まで気づかなかったプレーに気づく、見えてくる。
例えば捕手がパスボールした、捕球寸前にバウンドが変ったバッターボックスの穴埋めたか・・・?と問う。
もっと高度になってくると・・・・、
四球の後、何かやってくるなぁ・・・、ランナー落ち着きなくなってきたなぁ・・、とか感じる。毎回相手ベンチを見るようになる。私生活の中で気づきを知ると野球が変ってくる。
●乾いたスポンジとなった二年目
この一年目の気づきを知るとバケツの水を、スポンジで吸収するかの様に、みるみる目で見て感性で感じてくれる。いろんな人の話を真剣に聞ける。「どうせ試験があるんだから、家でやらなくて済むようにしっかり勉強しておこう」とか「休み時間に予習しておくと授業がよくわかる」とか「休み時間に宿題済ませておこう」とか「家庭学習をやっているとより効果が出やすい」とか色々広がりをみせる。
また筋力トレーニングもこの時期から始まり専門用語や股関節など関節周りの動きもこの時期から学ぶ。
●心も大人に近づく三年目
気づきの一年目、吸収の二年目を終え、心も大人に近づいてくる三年目「こういう練習をしようか・・」「今ここが弱いのでこの練習をさせて下さい・・・」など会話ができる。3年生も勝ちたいので、サボるようなことは無い。
ベースの生活に安定感が生まれると大きく人間性の広がりを見せる。この三年間で社会に貢献できる人間の基礎が出来上がるのでは!先回りして考えて相手に分かるように伝えることができる。新川高校野球部員のほとんどが、率先して学級委員を務め人前で話をしたり・考えをまとめたり・普段から率先して行っていた。
やはり野球も同じである。人に任せていると相手の策にはまる。自分が自発的に行動して考えて相手と間合いを図ってスキをついたプレーするためにはこのような意識が必要だと。
正に子育て!正に人間育成が新井田塾にはあった!
◎野球部(創部:33年)
監督:新井田 猛
部長:岸田 幸夫
2年:14名
1年:20名
主将:帰山拓磨
マネージャー:2年3名・1年1名
野球部員:38名
▼札幌新川高等学校
〒001-0925
北海道札幌市北区新川5条14丁目1-1
【札幌支部 札幌新川高等学校】
[選手名簿]
※ポジション・学年・出身中学・身長・体重・クラブチーム・出身少年野球チームなど
投 深尾翔斗 2年 陵 北中 176cm 69kg 硬式(円山シニア-スターキングス出身)
捕 菅原康平 2年 陵 北中 176cm 71kg 軟式(北陽ファミールサンダース-スターキングス出身)
一 濱下健吾 2年 篠路西中 174cm 81kg 軟式(篠路ファイターズ出身)
二 齊藤広大 2年 星 置中 165cm 61kg 軟式(星置レッドソックス出身)
三 川中拓磨 2年 手 稲中 178cm 68kg 硬式(新川ホップス-富丘ベアーズ出身)
遊 相馬章吾 1年 琴 似中 170cm 60kg 軟式(山の手ベアーズ出身)
左 渡邊康介 2年 星 置中 172cm 69kg 軟式(星置レッドソックス出身)
中 稲原直人 2年 平 取中 176cm 66kg 軟式(平取野球スポーツ少年団出身)
右 大橋一仁 2年 手稲東中 167cm 63kg 軟式(宮の沢オリオンズ出身)
10 帰山拓磨 2年 琴 似中 170cm 62kg 軟式(少年野球経験なし)
11 河邑直樹 1年 屯田北中 168cm 70kg 軟式(屯田ブルースターズ出身)
12 藤田洸司 1年 元 町中 174cm 71kg 軟式(元栄フェニックス出身)
13 種田裕一 2年 向 陵中 169cm 62kg 軟式(円山スターズ出身)
14 太齋周平 1年 北 陽中 170cm 64kg 硬式(石狩中央シニア-麻生野球少年団)
15 村椿悦也 1年 旭川神楽 177cm 66kg 軟式(北区ファイターズ出身)
16 河西政樹 2年 新川西中 169cm 61kg 硬式(新琴似ウィンキーズ出身)
17 堀 翔平 1年 上篠路中 172cm 60kg 軟式(篠路キングスネークス出身)
18 竹内 努 2年 手稲東中 172cm 60kg 軟式(発寒第一ハンターズ出身)
◎選手たちに聞いた!◎
[主将にインタビュー]
秋の戦いを振り返って
理想の戦いは、自分たちが先制して逃げ切って勝利。最悪のケースは相手に先制され終盤まで縺れるケースですが、練習の中で最悪のケースも想定して練習していたのでベンチに焦りは無かった。「野球は9回なので、9回終わった時点で1点差で勝っていればいい」と選手間でも話していた。ピッチングでも最悪を想定し準備をして戦った。
▼帰山拓磨 高2 (琴似中-少年野球経験なし)
●ポジション:投手
●身長:170cm ●体重:62kg
●右投げ・右打ち
●野球を始めたのは:中学1年
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:なし
●持ち味は:笑顔・切れ味のあるフォーク
●全道大会を振り返って:全校応援で素晴らしい経験ができた。抑えでマウンドからホームに向うとき感動が忘れられない。
●来春に向けて:フィジカルアップ!今より上の考える野球をする。
[バッテリーにインタビュー]
少年野球時代からバッテリー!
▼菅原 康平(北陽ファミールサンダーズ(軟式)-スターキングス出身)
●ポジション:捕手
●身長:176cm ●体重:71kg
●右投げ・左打ち
●野球を始めたのは:小学2年生
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:円山球場での試合!(手稲ヤングスターズ戦0-11敗戦)
●持ち味は:笑顔
●全道大会を振り返って:自分たちの持ち味を出し切り楽しむことができました。
●来春に向けて:体力を向上し、強豪に通用するチームにしたいです。
▼深尾翔平(札幌円山シニア-スターキングス)
●身長:177cm 体重:70kg
●左投げ・左打ち
●野球を始めたのは:小学3年生
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:円山球場での試合
●持ち味は:インズバ
●全道大会を振り返って:全員野球ができました。
●来春に向けて: ポテンシャルを上げ甲子園で通用するピッチャーになる。
[中軸打線にインタビュー]
▼濱下健吾(篠路西中-篠路ファイターズ)
身長:174cm 体重:80kg
●右投げ・右打ち
●野球を始めたのは:小学校2年生
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:小学4年生の時の大会
●持ち味は:明るさ
●全道大会を振り返って:全員で楽しむことができました。
●来春に向けて:メンタルを鍛えてどんな強豪にも負けない強い心を作る。
▼齊藤広大(星置中学-星置レッドソックス出身)
●身長:165.4cm 体重:61.6kg
●右投げ・右打ち
●野球を始めたのは:小学3年
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:夏季大会優勝(対 前田リトル戦)
●持ち味は:笑顔&声
●全道大会を振り返って:積極的にプレーすることができて楽しかったです。
●来春に向けて:技術はもちろん身体を鍛えて全国に通用するチームになります。
▼稲原直人(平取中学-平取野球スポーツ少年団出身)
●身長:176cm 体重:65kg
●右投げ・右打ち
●野球を始めたのは:小学3年
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:全道大会(対 上ノ国石崎ヤンチャーズ戦)
●持ち味は:冷静さ
●全道大会を振り返って:逆転する展開があったり楽しむことができました。
●来春に向けて:筋力アップしてここぞの場面で、一本打てるバッターになる。
▼渡邊康介(星置中学-星置レッドソックス少年団
●身長:172cm 体重:68kg
●右投げ・右打ち
●野球を始めたのは:小学3年
●少年野球時代の想いでの大会・試合は:夏季大会優勝(対 前田リトル戦)
●持ち味は:笑顔
●全道大会を振り返って:大歓声の中での試合は楽しかったですが、負けたことは本当に悔しかった。
●来春に向けて:チーム全体が身体を大きくし、強豪私立に負けないパワーをつけます。
~この人達を忘れてはいけない~
陰で支える裏方マネージャーさん!
▼角田あいかさん 高2
①全道大会出場・全道ベスト4と活躍した選手たちへ一言:頑張って全道ベスト4まで上ってきてくれた部員に、とても感謝している。
②来春に向けて選手たちへ一言:全道ベスト4より高いところを目指して、これからも支えるんで頑張ってほしいです。
▼本田佳緒莉さん 高2
①全道大会出場・全道ベスト4と活躍した選手たちへ一言:ベンチではいつも先生に怒られていたけど、それに負けないでプレーしていたみんなはとてもカッコ良かったです。
②来春に向けて選手たちへ一言:厳しい冬の練習を乗り越えて、「春」優勝目指して頑張ろう!
▼齊藤綾香さん 高2
①全道大会出場・全道ベスト4と活躍した選手たちへ一言:みんなでここまでこれて嬉しかったし、新川野球部のマネージャーであった事に誇りに思いました。
②来春に向けて選手たちへ一言:冬のトレーニングは辛いと思いますが、来春は今回以上の結果を目指して頑張ってほしいです。
▼桑原穂薫さん 高1
①全道大会出場・全道ベスト4と活躍した選手たちへ一言:全道ベスト4までいってくれて嬉しかったし、みんなで一体となってプレーしていた!みんなカッコ良かったです。
②来春に向けて選手たちへ一言:冬に一段とレベルアップして春優勝目指して頑張りましょう!
【札幌新川高校主な設備】
◎来季に向けて
どこまで戦えるかも見えた。どこに壁があるかもわかった。私学の強豪との差は感じた。圧倒的な振る力だったり、投げる力だと思うが、より一層生活の質そして練習の質も高め!明確な目標の中、春までその差を縮めておきたい!(新井田猛氏)
協力:札幌新川高等学校
急な取材にも快くご対応いただいた札幌新川高等学校・新井田監督、選手・マネージャーの皆さん遅くまで取材のご協力有難うございました。21世紀枠からの甲子園出場、真剣に祈っておきます!発行人・大川祐市