リトルシニア 小樽、道スポ杯も制し道内2冠だ!
(リトルシニア野球第22回道新スポーツ杯争奪夏季全道大会準決勝・決勝 18日札幌麻生球場)
道新スポーツ、全日本リトル野球協会リトルシニア北海道連盟の主催。準決勝、決勝の3試合が行われ、小樽が実力どおりのパワーを見せて旭川北稜に15-1と圧勝、6月の日本選手権北海道大会に続いて道内3大大会の2冠を制した。道新スポーツ杯は初優勝。小樽チームは8月1日から始まる日本選手権(東京)に出場したあと、中学選手権(ジャイアンツカップ)にも参戦する。3位はとかち帯広と岩見沢の2チームが分け合った。
来月からの全国2大会に大きな弾み
小樽が価値ある初優勝を成し遂げ、8月1日から始まる日本選手権、中学選手権の全国大会に弾みをつけて乗り込む。春の全国選抜大会でベスト4進出、春季大会は決勝で札幌新琴似に敗れたものの準優勝、日本選手権北海道大会では苫小牧を破って優勝、そして今大会の道スポ杯での初優勝と、今季絶好調だ。エース金子裕生(菁園3年)を中心に山田宏夢(向陽3年)、尾崎勇哉(向陽2年)ら安定した投手陣に加え、主砲・山谷拓実(主将、末広3年)、下村優樹、下村聖樹(向陽3年)の双子兄弟ら、強力なバッターがそろっており、どこからの打順でも加点できる打線は小樽の強みだ。日本選手権の全国大会は2回目の出場。ナインの心はひとつ、「春以上(ベスト4)の結果を出す」と闘志満々。道スポ杯での初優勝でナインの気分は最高潮、秘かに狙う全国一の夢へ大きな弾みになったはずだ。
▼準決勝
とかち帯広 01101030=6
小 樽 00410101x=7
(延長八回)
(と)西嶋-軸丸翔 (小)金子-山谷 ▽本塁打 軸丸翔(と)、山谷、原田(小)
旭川北稜 1010003=5
岩見沢 0010000=1
(旭)東原-加藤 (岩)香川-向井
▼決勝
旭川北稜 0000100=1
小 樽 005415x=15
(旭)櫻田、東原、森一、東原-加藤 (小)山田、尾崎-山谷 ▽本塁打 金子(小)
金子裕生、遠征祝いの満塁アーチかっ飛ばす
決勝は序盤で勝負がついた。小樽打線は三回裏、旭川北稜の好投手・櫻田凌太(当麻2年)を襲い一気に5得点。一死後、3番・下村優樹の中前打、4番・山谷拓実の左前打,二死になって6番・山田宏夢が死球で満塁。続くバッターはこの日4安打を放った杉林玄基(銭函3年)が登場、会心の左翼オーバーの二塁打で2点、その後押し出し、悪送球などで試合を決める5点をあげた。六回には打者としても実績がある金子裕生が二死から左中間スタンドに満塁ホームランをかっ飛ばしトドメを刺した。金子はこの日、準決勝で完投勝利をおさめ、決勝戦は途中から打者として出場した。今月30日、米イリノイ州で開幕の全米選手権に北海道連盟からただひとり、日本代表の投手として出場する金子だが、打撃力も非凡なものがあり投打での活躍が期待される。日本選手権には日程が重なり出場できないが、チームの全国出場に「練習してきた成果を出し切って、一つでも多く勝ってほしい」とエールを送る。
全国大会のテス投?山田-尾崎が必勝リレー
守っては先発投手の山田宏夢が打たせて取る安定したピッチングでゲームをつくり、2年生投手の尾崎勇哉が締めくくる小樽の必勝新パターンが出来上がった。エースの金子が全米選手権遠征で全国大会は不在のため、村上武洋監督(45)は今大会は山田・尾崎の両投手を中心にした投手起用を考え、全国大会を視野に入れながら調整してきた。その結果が決勝戦であらわれ、初優勝につながった。ナインもエース(金子)不在に何の違和感もなく受け入れ、必勝新パターンに厚い信頼を寄せている。村上監督は「(今大会)山田は安心して任せられる安定感を感じた。全国大会では柱として頑張ってもらう。また、2年生投手の尾崎の成長が大きかった」と優勝を振り返った。投打ともにバランスの取れた成長著しい旭川北稜相手に15-1の圧勝劇。点差こそ開いたが決勝戦にふさわしい中身の濃いゲームだった。
▼小樽の強力打線本領、準決勝・決勝でホームランを打った3選手に聞く
◎山谷 拓実 =準決勝三回② (打撃持ち味)打ち損じていても、フルスイングしているので外野まで運んでいけるパワー(全国への抱負)プレーばかりでなく、主将の役目を発揮してチームに貢献したい。
◎原田 洸太(桜町3年)=準決勝六回ソロ (打撃持ち味)強い打球を打てるように常に心がけている(全国への抱負)2番打者として、役目をしっかりと果たしたい。
◎金子 裕生=決勝六回④ (打撃持ち味)どの打席も自分のスイングをすることに集中している(全米選手権への抱負)体の大きい選手が多いが、自分のピッチングをして活躍したい。
初の決勝進出も残念無念!旭川北稜、連戦で力尽く
今大会、試合ごとに力をつけ、成長のあとが見られ初の決勝進出を果たした旭川北稜だったが、強打者ぞろいの小樽に完敗した。雨の影響で強行日程を強いられ、16日から決勝の18日までの3日間で4試合を戦う過密スケジュールだった。この日は準決勝と決勝の2試合。準決勝は3年生エースの東原礼旺(神楽)が岩見沢を5-1で下し快勝し、気分よく決勝へ臨んだが、相手はいま乗りに乗っている小樽。先発した2年生の好投手・櫻田凌太、準決で完投した東原、森一平(紋別3年)と継投したが、序盤から強力な小樽打線につかまり15安打を浴びて初優勝の夢は消えた。連戦の疲れがあったのは投手陣ばjかりではない。野手陣にも疲労が蓄積していたのか、守備にも乱れが出て相手に勢いをつかせてしまった。初Vは逃したが収穫はあった。激戦を勝ち抜いて頂点対決までたどりついた戦績は、ナインにとってゆるぎない自信につながったことであろう。選手の急成長(平田和久コーチ)は確かだ。
◎とかち帯広の軸丸翔、小樽・金子から同点3ラン
チーム部員13人と少数精鋭で頑張る「とかち帯広」が準決勝で王者小樽を相手に好試合を展開した。二回、とかち帯広は小樽のエースで、全米選手権日本代表メンバーの金子から待望の先制点をあげ、三回にも1点を加点して2-0と幸先よいスタートを切った。しかし、その裏に強打線の小樽につかまり4点を取られ逆転を許した。それでもナインはめげずに勝機をうかがい、試合を捨てなかった。五回に1点を返して迎えた最終回の七回表、3-6と3点のビハインドを背負ってバッターボックスに立ったのが主砲の軸丸翔斗(幕別糠内3年)。塁上のランナーは阿部聡太(幕別札内東2年)、西嶋亮太(翔陽3年)の2人。一発出れば同点。軸丸は、渾身のパワーをバットに乗せて振り抜き、打球はグングン伸びて左翼席に吸い込まれた。見事な一振り、土壇場で試合を振り出しに戻した。しかも小樽・金子からの3ランは価値ある一打だ。試合は延長戦になり、八回小樽のサヨナラ勝ちでゲームセットになったが、13人の少数精鋭軍団の根性と粘り野球は、今後のリトルシニアリーガーたちの手本となるものだった。
(取材・中山 武雄)
(写真:中山武雄・大川祐市 )