2022チーム訪問<オックス>

冬季練習に励むオックスナイン
<第12弾>チーム訪問は、札幌市南区石山にある屋内施設「Loco Estadio(ロコ・エスタディオ)」で冬季練習に励む中学軟式クラブチームのオックスへ伺ってきました。
昨シーズンは、全日本少年札幌支部予選で初出場ながら決勝まで駒を進め強豪T・TBCに逆転で敗れるも準優勝の活躍があった。
二年目を迎える今年から小笠原武蔵新監督(25)の下、各学年約10人と人数制限を設けたところ、そうした取り組みが功を奏し、昨年11月には定員10人を満たした。
少人数制にしたほうが選手たちの学びはよくなる、出場機会も増え野球が楽しくなると同チームは考える。
今回は新監督小笠原氏をクローズアップして紹介致します。
<発行人>
25年と言う人生の中で、これほど紆余曲折ありながら曲がることなく素直に野球と向き合い、前向きに人生を歩いている青年を私はこれまで見たことが無い。

冬季練習に励む選手たち(オックス)

小笠原新監督の話に耳を傾ける選手たち
チームスローガン「本気で熱くなれ」
人生が懸かった場面で自分が本気で挑めたことは今になって活きている!
周りの支えにも助けられチャンレンジできた自分を誇りに思います。
これからもひとり一人に寄り添って本気で熱くなります!と語るのは小笠原新監督。
現在、会社員でオックスベースボールクラブの監督を務める小笠原武蔵氏が、創部二年目にして2022年11月より父・小笠原 晃氏(50)より名を受けオックス二代目の監督となった。
同氏の経歴を見ると野球エリートと見て取れる。
しかし話は聞いてみるものだ。
人に道あり、紆余曲折を乗り越えここまできている。
小笠原武蔵さんは1997年札幌市生まれ。
当時の姓は石島武蔵。
家族は両親と姉2人に武蔵少年の5人だ。
武蔵少年が小学1年生・6歳の時、両親が離婚。
父方に長女の桜さん、母方に次女・蛍さんと武蔵少年。
3人の兄弟も別れた。
それから二年後、武蔵少年が小学3年生当時、母・綾子さんが現在の父・小笠原 晃さんと再婚。
この頃、父・晃さんとのキャッチボールが、新しい親子関係の潤滑油となり徐々に親子関係が良好になっていったという。
親子間の野球熱が高まると同時に、すぐさま少年野球チームに入ることは何ら躊躇(ちゅうちょ)がなかった。
お世話になったのは豊平区の中の島ビックタイガースだった。
しかし父・晃さんの仕事の関係もあり小学6年間の間、6度の転校で7校を経験した。
武蔵少年が辿った小学校は<厚別小学校⇒平岸小学校⇒本郷小学校⇒宮の森小学校⇒真駒内小学校⇒真駒内曙小学校⇒福住小学校>と実に7校。
少年野球チームは中の島ビックタイガースに次いで本郷イーグルス、西町スワローズと真駒内ドリームスと渡り歩き武蔵少年はすでに5年生。
5度目の引っ越しで7校目となる福住小学校へ転校。
転校先となった福住小学校では、真駒内ドリームスへ通う案を模索したが送迎の問題でとん挫していたところ。
ここでスーパーマン登場。
現在も監督を務める伊東福生氏(真駒内ドリームス)だ。
「送迎は俺がするからチームに残れ!辞めるな」と必死に引き留めに動いてくれた。
その言葉には二言が無く、同氏は平日の練習でも欠かさず武蔵少年を送迎し続けた。
「おかげで最後の6年生卒団まで伊東監督下、少年野球を全うできた。これまでの野球人生で一番お世話になった人です」と胸を張って感謝した。
少年団退団後は新琴似リトル(硬式)を6年冬から中学1年の秋までお世話になった。
同年冬からは札幌南リトルシニアへ入団するも思想の違いからか3月で退団。
監督同士の話し合いの下、中学2年4月から札幌新琴似リトルシニアへ移籍している。
しかし同年6月頃の練習中に今まで感じたことの無い痛みを感じた。
肘が伸びない。
伸ばせても60度くらいまでしか伸ばすことが出来なかった。
聞くと古くは学童野球時代から多少痛みは感じていたが、すべて我慢して投げ続けていたそうだ。
中学校に入ってからは一旦痛みは無かったものの「慢性的なものがあったかもしれません」。
今回は学童時代とはあきらかな痛みの違いを感じ当時、松田整形外科病院で診察を受けたところ「離断性骨軟骨炎・全治一年」と診断を受けた。
当時を振り返ると「絶望の境地だった」。
術後半年を過ぎると順調な回復を見せ医師からも「これなら右で復活できるよ」と言われた言葉が何よりうれしかったことを覚えている。
当時、両親を始め周りの方々に支え続けてもらったおかげで苦しいリハビリ期間も乗り越えることができた。
自らが高校野球をやっているイメージを持ち続け頑張ろうと「今できることをやろう」とシャドウピッチングやランニング、プールで水泳と一番苦しい時期ではあったが、必ずこの積み重ねが高校野球で生きると信じてまっすぐ前を見た。
努力の甲斐もあり高校は室蘭支部の鵡川高校へ-。
高校2年の春からベンチ入りしスタメンにも名を連ねるまでになった。
三年間で一番の思い出は高校3年の夏、室蘭支部予選・準々決勝でエース伊藤大海投手(現・北海道日本ハムファイターズ)を擁する駒大苫小牧と対戦。
結果は0-3で涙した。
大学は星槎道都大学へ-。
四年間の一番の思い出は大学4年生の全国大会。
星槎道都大は北海道代表として出場し、初戦の福岡大に0-1で涙。
この裏には生死をさまよう出来事もあった。
大学3年の3月、オープン戦でいつもように左バッターボックスに入り一塁線へセーフティーバンドを試みようとインコース高めのボールをバンドしたところファールボールが右目を直撃し脳震盪(のうしんとう)を起こし救急搬送。
救急病院では治療困難のため翌日、大学病院で即手術。
場合によっては失明も考えられたが医師も驚くほどの回復を見せ三ヶ月後にはまたユニフォームを着るまで回復した。
さらには全国大会出場も夢叶った!
「福岡大戦ではヒットこそ打てなかったが全国の舞台を経験できた」と胸を張った。
社会人は道内のTRANSYS(トランシス)。
目標は都市対抗と言いながらもプロ野球選手の夢を捨てきることができないでいた武蔵さん。
社会人野球二年目の2021年は勝負の年と位置付けた。
プロ野球選手の夢を持ち続けていた青年もこの時24歳。
小学生の頃から抱いていた憧れのプロ野球選手の夢は、色あせていても持ち続けていた。
いつか区切りをつけなくてはと同年、10月に埼玉県で開催された独立リーグのトライアウト受験で最後の勝負にでた!
「落ちたら野球は辞める!その時はオックスを手伝う」と心に決め覚悟して臨んだ。
結果は2打数1安打と悔いはない。
複数の独立リーグからのオファーをとにかく待った-。
しかし結果、どこからもオファーは無かった。
「プレーヤーとしてはやり切りました」とスッキリした表情でインタビューに答えてくれた。
<発行人>
25年と言う人生の中で、これほど紆余曲折ありながら曲がることなく素直に野球と向き合い、前向きに人生を歩いている青年を私はこれまで見たことが無い。
プレイヤーから中学生を指導する立場となった小笠原さんの目はキラキラと輝いていた。
インタビュー中も多少溢れる感情が今までの頑張りを想像させてもらいました。
チームスローガン「本気で熱くなれ」は嘘偽りない言葉。
この若者に大いに期待したい!
<新監督>
〇小笠原 武蔵(25)
TRANSYS(トランシス)-星槎道都大-鵡川高
中学時代は札幌新琴似シニア-札幌南シニア-新琴似リトル(硬式)
学童時代は真駒内ドリームス(5、6年)-西町スワローズ(4年)-本郷イーグルス(3年)、中の島ビックタイガース(3年)
右投げ、左打ち
178センチ、80キロ

新監督・小笠原武蔵氏(オックス)
<3年生の進路>
3年生7人。
私立では札幌日大、札幌新陽、札幌創成。
その他公立校。
小笠原武蔵新監督(25)は「最大の敵は自分自身。成功を求めるのではなく成長を求めなさい」と背中を押した。
<新チーム>
2年生:1人 1年生:4人 6年生:11人(1月22日現在)
※中学2、1年生は現在も募集中です!
<新入団員・6年生>
〇月山 宗亮(つきやま そうすけ)
右投げ、右打ち
篠路ライオンズ出身
〇加藤 優騎(かとう ゆうき)
右投げ、右打ち
ポルテ札幌東出身
〇長谷川 雄輝(はせがわ ゆうき)
右投げ、右打ち
ポルテ札幌東出身
〇宮里 篤順(みやざと あつのり)
右投げ、右打ち
手稲鉄北イーグルス出身
〇石井 基貴(いしい もとき)
右投げ、右打ち
手稲鉄北イーグルス出身
〇渡邊 龍成(わたなべ りゅうせい)
右投げ、右打ち
手稲鉄北イーグルス出身
〇松田 凌祐(まつだ りょうすけ)
左投げ、左打ち
簾舞ヤンキース出身
〇尾岸 大智(おぎし だいち)
右投げ、右打ち
簾舞ヤンキース出身
〇大山 哲平(おおやま てっぺい)
右投げ、右打ち
簾舞ヤンキース出身
〇佐藤 琉宙(さとう りゅう)
右投げ、右打ち
南スーパースターズ出身
〇高田 晄(たかだ ひかる)
右投げ、左打ち
北九条パンサーズ出身
<イチオシ選手>
〇波岡 沓真(なみおか とうま)
1年・札幌オールブラックス出身
右投げ、右打ち
170センチ、74キロ
今シーズンに向けて波岡は「チームの勝利の為にもっと貢献できるよう頑張ります」と力強かった。

波岡(オックス)
<主将>
〇小林 璃空(こばやし りく)
中学2年・中の島ビックタイガース出身
右投げ、両打ち
157センチ、44キロ
小笠原監督は「話を聞く目もいつも真剣で練習に対しても一生懸命に取り組んでいる」と評価した。
小林主将は「新チームは先輩・後輩関係なく色々な個性ある選手がいますが楽しくやってます」と笑顔を見せた。
「昨年、3年生が全日本少年札幌支部予選・決勝で敗れた分、自分たちは先輩たちの分も優勝目指して頑張りたい」としっかりと胸を張った。
<発行人>
自信があるのは守備。
守備範囲の広さが持ち味だと言う。
現在は左打ちにも挑戦中で、試合で野手の間を鋭く抜ける打球を目指して日々トレーニングとバッティング練習に時間を割いているそうだ。
インタビューの受け答えもハキハキとテンポ良く答える様に頭の良さも窺える。

小林主将(オックス)
<活動>
〇夏季シーズン:土日祝日は南幌町グラウンド他
※大会前は平日練習の可能性もある。
〇冬季シーズン:Loco Estadio(ロコ・エスタディオ)南区石山2条2丁目5-11
※土日祝日を基本とし、半日程度を予定。
<団費ほか>
〇入団金:5,000円
〇団 費:7,000円
※兄弟2人目の場合、母子・父子家庭の場合3,500円。
※冬季(12~3月の4ヶ月間)の4ヶ月間は暖房費別途2,000円(月額)
〇傷害保険代:800円
協力:オックス