歓喜の中の島F!全員野球でもぎ取った初V(太陽杯)

九回、ダブルプレーで一死満塁のピンチを無得点に抑え喜ぶ中の島ナイン
まさに全員野球、中の島ファイターズが接戦の連続で頂点に駆け上がり大会27回目で初めて全道を制した。
「TAIYO GROUP杯争奪第27回全道少年軟式野球選抜大会」の準決勝・決勝が20日、札幌市北区の太陽グループ少年野球場で行われた。
決勝は石狩代表の中の島ファイターズ野球少年団と上川代表の旭稜野球少年団の対決となり、七回1-1の同点で決着がつかず延長戦(一死満塁の促進ルール)に入る大熱戦となった。
明暗を分けた九回、後攻の中の島ファイターズが2回戦に続いて押し出し四球で勝利を呼び込み念願の優勝旗を手にした。
3位は岩見沢南ビクトリー、白樺野球スポーツ少年団。
参加612チーム。

サヨナラのホームを踏む山下さん(写真右は前田捕手)
主催・北海道少年軟式野球連盟、特別後援・北海道新聞HotMedia、特別協賛・TAIYO GROUP
<最終日に残った4チームの紹介>
▽準決勝
岩見沢南ビクトリー(空知)
0000000=0
001000x=1
中の島ファイターズ野球少年団(石狩)
(岩)高橋-横田
(中)藤原-土田
▽二塁打 三浦(中)
旭稜野球少年団(上川)
0021=3
2000=2
白樺野球スポーツスポーツ少年団(後志)
(四回時間切れ)
(旭)澤田-前田
(白)佐藤-日野
▽二塁打 安加賀
▽決勝
旭稜野球少年団
000001010=2
000001011✖=3
中の島ファイターズ野球少年団
(八回から一死満塁で促進ルール)
(旭)佐藤、澤田-前田
(中)井上-土田
すごかった勝利への執念、中の島ファイターズ
中の島ファイターズの粘り野球はすごかった。
選手・監督・コーチ・応援団が一体となって初優勝をつかんだ。
2回戦から3戦連続の1点差勝ち。
中でも2回戦の天塩タイガース戦は、監督歴32年の千葉泰司監督もしびれた逆転劇だった。
1点ビハインドで迎えた最終六回、二死満塁でバッターは7番・山下颯夏さん(5年)。
フルカウントで千葉監督から「待て」のサインを受け、見事に選球して押し出し同点、続く8番・吉田翔選手(4年)も気迫の選球で四球サヨナラ、奇跡の2連続劇で勝ち上がった。

サヨナラ押し出し四球で一塁へ走る藤原(中の島)
千葉監督は「選手たちのすごい成長に感動した。『待て』は勝負をかけた判断だった。ミス采配にならずホッとした。選手のお陰です」。一生忘れないシーンになる-と天を見上げた。
決勝も2回戦と同じく、中の島ファイターズの「粘り野球」が最後の最後で本領を発揮して大きく開花した。
エースの井上蒼大投手(5年)と相手チームの旭稜野球少年団・佐藤賢介投手(4年)の素晴らしい投げ合いで七回まで1-1の同点。

井上投手(中の島)

佐藤投手(旭稜)
八回から一死満塁の促進ルールで延長戦に突入、取られたら取り返す両チームの気迫が試合をさらに盛り上げた。
この熱闘に決着をつけたのが中の島ファイターズきってのマルチ選手、藤原翔太遊撃手(5年)だ。
六回に同点タイムリーを放ち気をよくして九回先頭打席に立ち、「絶対に塁に出る」と気迫の闘争心でボールを見極めて千金の四球出塁を果たした。
劇的な押し出しサヨナラ勝利だ。
準決勝の岩見沢南ビクトリー(空知)戦では7回1安打完封を成し遂げた。
「(来年8月・東京)全国ではノーヒット・ノーランを目指します」と目を輝かせていた。
キャプテンの三浦悠生一塁手(5年)は「エラーしてもみんなで支え合うのが中の島Fです」と全員野球の勝利を強調した。

母からメダル授与を受ける中の島ナイン

初優勝の中の島ファイターズ
旭稜野球少年団、先手、先手も実らず無念の涙
九回表、併殺プレーで加点できず万事休した旭稜野球少年団。
その裏、四球押し出しで「優勝」をさらわれ、悔しさも倍増した。
先発メンバーで5年生は4番で主将の澤田陸叶・三塁手ただひとり。
後は全員が4年生とハンディを背負いながらの決勝進出だったが、その内容は堂々と好プレーを展開した。
負けはしたが「お見事!」という言葉を、優勝チームと同じくらいの値で贈りたい。
ベンチに引き上げるや否や、ナインは号泣した。
閉会・表彰式でも涙は収まらず、父母たちももらい泣きしていた。
よほど悔しかったのだろう。
七回1失点と好投した佐藤投手は「調子は最高に良かっただけに悔しいです」と、絞り出すような声で下を向いた。
瀬川洋監督は「こっちの想像以上にやってくれた。大したもんです」。
選手たちの大きな成長に目を細めていた。

メダル授与を受ける旭陵ナイン

惜しくも準優勝の旭稜野球少年団

九回タイブレークを戦い終え、ノーサイドとなった両監督(写真左から瀬川監督、千葉監督)
協力:北海道少年軟式野球連盟