「未来の野球人口を守るために」――札幌南JBC・成田耕一総監督が見据える学童野球のこれから

参加者と成田氏を含む3人の“野球の楽しさを伝える先導者”たち。
「未来の野球人口を守るために」――札幌南JBC・成田耕一総監督が見据える学童野球のこれから
創部からわずか数年で数々の実績を重ねてきた札幌南JBC。
勝利を重ねる一方で、チームは“育成”という本質にも真摯に向き合っている。
そんな中、現在は総監督という立場でチームを支える成田耕一氏の取り組みに、地域野球の未来への強い危機感と情熱がにじんでいる

札幌市南区限定、野球キッズの様子

札幌市南区限定、野球キッズの様子
札幌南JBCは2022年の創部以来、南区新人戦、札幌選抜南区予選、ワールドプレミアム大会などでの優勝を皮切りに、2023年にはホクレン旗石狩支部予選・全道大会優勝、北日本大会準優勝、さらには全道少年軟式野球大会でも札幌支部優勝、さらには全道大会・第3位と躍進した。
2024年も札幌選抜大会第3位、札幌選手権大会準優勝、続く札幌市長杯第3位と札幌市内トップレベルの成績を残している。
こうした実績の裏で、チームが力を注いでいるのが“底辺の拡大”だ。
成田総監督を始め同チームのベテラン指導者らが現在、主に小学3年生以下の低学年層の指導にあたる一方で、野球未経験の子どもたちを対象とした「野球教室」も企画・実施している。
この冬に行われた野球教室は、札幌南JBCの活動とは別に、地域全体の少年野球を見据えた取り組みとして開催された。
告知はInstagramや地域の幼稚園・保育園へ配布されたチラシで行い、プラスチックバット、スポンジボール、穴あきボール、カラーボールなどを使用した安全性の高い内容で全5回を実施。
幼児を中心に延べ50人が参加し、ティボール形式の試合では自然と勝敗にこだわる姿や、保護者の応援にも熱が入る光景が見られた。
成田氏は「この子たちがどのチームでもいい、南区内の9チームのどこかで野球を始めてくれたらそれでいい」と語る。
チームの垣根を越え、地域全体の競技人口を増やすという視点が、まさに今の学童野球に必要な“地道な底辺づくり”の姿だ。
実際、2024年から2025年にかけて南区の少年野球チームは10から9に減少。
指導者や保護者の間でも「このままでは将来、地域の野球が成り立たなくなるのではないか」という声が聞かれるようになっている。
そんな中で成田氏らの活動は、小さな波のようでいて確実に地域野球の未来を支えている。
2025年は「第25回区長杯・第43回ホクレン旗石狩支部南区予選」にも代表2枠をかけた戦いが控えているが、札幌南JBCが示すべき役割は、単なる勝利ではなく“野球の楽しさを伝える先導者”であることかもしれない。
未来の野球少年が一人でも多く生まれるように。
成田耕一総監督の静かで熱い挑戦は、今後も続いていく。

札幌市南区限定、野球キッズの様子
<2022年>
南区新人戦、札幌選抜南区予選、ワールドプレミアム大会で優勝。
<2023年>
ホクレン旗石狩支部予選、全道大会を優勝。
北日本大会を準優勝。
全道少年軟式野球大会・札幌支部予選、全道大会を優勝。
<2024年>
札幌選抜大会・第3位、札幌選手権大会・準優勝、札幌市長杯・第3位。
エネサンス南区予選、石狩支部予選・優勝。
ミズノドリームカップ熊本大会出場。
協力:札幌南JBC