創部25年目、進化続ける新陽スターズ 「強く、楽しく」感謝を胸に挑む2025シーズン

新陽スターズ
創部25年目、進化続ける新陽スターズ
「強く、楽しく」感謝を胸に挑む2025シーズン
札幌市北区を拠点に活動する学童野球チーム「新陽スターズ」。
2001年に創部し、今シーズンで25年目の節目を迎える。
2月24日、冬季練習を行っていた同チームを取材した。
クラブチームとして活動しているため、地域を問わず選手を受け入れており、市外から通う選手もいるなど、近年ますます注目度が高まっている。
井上太監督のもと、スローガン「強く、楽しく」を掲げ、感謝の気持ちとともに、さらなる飛躍を目指している。
★現在、チーム訪問先募集中です!
お問い合わせは大川まで(090-1524-0465)(strikepro.oh@gmail.com)

ランニングする新陽スターズナイン

ウォーミングアップする新陽スターズナイン
<活動>
平日:火・木曜日(夏季)16:00~18:30※冬季間は平日練習は無し。
土日:(冬季)新陽小学校体育館/(夏季)新川中学校、新川中央小学校グラウンド 9:00~16:00
<選手>
6年:4人
5年:10人
4年:10人
3年:1人
2年:3人
1年:2人
(2025年2月24日現在)

投手(新陽)
<主だった遠征>
苫小牧遠征(3月下旬)
函館遠征、室蘭遠征(4月上旬)

捕手(新陽)
「強く、楽しく」――子どもたちの心を動かす冬季練習の工夫とチームの成長
チームのスローガンは「強く、楽しく」。
その言葉には、技術的な成長と同時に、野球そのものを心から楽しんでほしいという指導者の想いが込められている。
冬季練習では、そのスローガンを体現するように、多彩なアイディアを盛り込んだトレーニングが展開された。
俊敏性や瞬発力といった、小学生のうちに身につけておきたい身体能力の基礎を育てることをテーマにしながら、同時に「楽しく取り組める」ことにも重きを置いたメニュー構成が特徴だ。
例えば、鬼ごっこを応用した反応トレーニングや、リズム感を養うステップワーク、ジャンプやスライド動作を取り入れた動きづくりのメニューなど、遊びとトレーニングを融合させた内容は、子どもたちの好奇心を刺激し、自然と体を動かしたくなるような工夫にあふれていた。
また、練習が単調にならないよう、日々異なるメニューを取り入れることで、子どもたちが飽きずに楽しく取り組めるよう配慮されているのもこのチームの特長だ。
競争心を高めるミニゲーム形式のトレーニングや、ペアワーク・チーム対抗形式など、コミュニケーションを促しながら個々の成長を引き出す工夫も随所に見られた。
「強く、楽しく」の言葉どおり、笑顔と真剣さが入り混じる冬季練習の光景は、チームとしての成長の土台となる時間でもあった。
単に体を鍛えるだけではなく、子どもたちが「もっと野球をやりたい」「もっと上手くなりたい」と感じられるような環境づくりが、次なるシーズンへの原動力となっている。
春の訪れとともに、冬に積み上げた土台が実を結ぶ。新しいシーズンを迎える子どもたちのプレーに、自然と期待が高まっていく。

内野手(新陽)
「感謝の気持ち」と「ノーサイン野球」――井上監督が目指すチームづくりと指導の哲学
井上監督は、日々の指導において「常に感謝の気持ちをもって取り組むよう、子どもたちと向き合っている」と語る。
その想いは、日常の練習の中にも根づいており、チーム全体の雰囲気にも反映されている。
指導の大きな目標として井上監督が掲げるのは、「最終的には監督と選手とのアイコンタクト=ノーサインの野球を実現すること」。
選手たち自身が判断し、次のプレーにつなげる試合の流れを感じ取れるようになること、そして大きな舞台を経験させ、心と技術の両面で成長させることが指導の柱となっている。
細かい方針としては、今シーズンからバットが従来の仕様に戻ったことを受け、点を与えない「負けないチームづくり」に一層の意識を向けている。
投手に関しては、球速が無ければ打者とのタイミングをどう外すかを重視し、スピードに頼らないピッチングスタイルを指導している。
また、投手の完投は基本的にさせず、球数や球筋を見ながら適切なタイミングで交代を判断しているのも特徴だ。
捕手についても、井上監督は「3~4人は必要」と話しており、複数の選手が試合で対応できるように準備を進めている。
現在のチームの課題は、「競り合った試合での瞬時の判断力がまだ足りていないこと」。
それを克服するためにも、開幕までに練習試合を重ね、実戦を通じて改善を図っていきたいという。
冬期間においても、広い屋内施設を活用し、多くの選手を起用しながら個々の成長具合を丁寧に確認している。
さらに、専属トレーナーがチームのサポート役として帯同し、コンディショニングや身体づくりの面でも大きな支えとなっている。
井上監督の「感謝」と「自立」を重んじる指導は、確実に選手たちの心と技術を育てている。

外野手(新陽)

ラダートレーニングする新陽スターズナイン
井上監督が語る新チーム分析――10項目から見えた戦力と課題、総合評価は「48点」
井上監督が新チームの現状について、攻撃力・守備力・投手力など10項目を10段階で自己評価。
昨年から主力として活躍してきた選手たちの力に加え、新たな戦力の台頭にも期待がかかる。
出塁率の高い1番バッター、長打力を持つクリーンナップ、そして複数投手による継投策など、随所に光る部分はあるものの、さらなる成長が求められるシーズンとなりそうだ。
総合評価は48点。
チーム全体の底上げが今後のカギとなる。
【攻撃力:3】
昨年、1番・三塁手兼二塁手兼投手を担った松井應汰(4年)は出塁率が高い。
また、クリーンナップを担う3番・5番の坂東孝志郎(4年/捕手兼一塁手兼三塁手)、4番の三田村悠生(4年/投手兼外野手兼三塁手)らは、長打力が魅力だ。
【機動力:5】
3番・5番で遊撃手兼投手を担った石川大悟(5年)、2番・二塁手兼外野手を担った安達優陽(4年)が中心。
【守備力:5】
下位打線で三塁手を担った長尾桂吾(5年)、中堅手兼遊撃手を担った小畠拓之(5年)が守備からリズムを作ってくれた。

冬季練習に励む新陽スターズナイン

冬季練習に励む新陽スターズナイン
【投手力:4】
9番・投手兼捕手兼外野手の加賀谷啓斗(5年)、石川、三田村、投手兼捕手を担った粥川尊(5年)、松井と、複数投手による継投で試合を組み立てた。

ピッチングの様子(新陽)
【精神力:5】
キャプテンの長尾桂吾(5年)がやはりカギを握る存在。ただ、やさしい性格のため、勝負どころではもっとガツガツしたプレーを期待したい。
【層 力:4】
【チームワーク力:6】
【勝負力:4】
【適応力:6】
【戦略力:6】
【総合評価:48】

冬季練習に励む新陽スターズナイン
夢を諦めない—ケガと向き合う阿知良梓佑の挑戦 「中学最後の夏、130キロのストレートを目指す」
キャプテン長尾くん
考える野球が面白い!
三塁手・長尾桂吾くんの“仲間とつくるプレー”の魅力
チームの頭脳として三塁を守るのは、主将の長尾桂吾くん。
WBCとお父さんの影響で野球を始めたという桂吾くんは、「みんなでプレーを考えることが楽しい」と語る“考える野球”の実践者だ。
サインプレーが決まった時や、練習の成果がプレーに表れる瞬間に喜びを感じるという。
仲間との絆を大切にしながら、鋭い打球に挑み続ける三塁手は、日々チームを支える存在として輝いている。
憧れは守備の名手・宗山塁選手。
夢への一歩が今、ここにある。
〇長尾 桂吾(ながお けいご)
5年・三塁手
右投げ、右打ち
140センチ、34キロ

長尾主将(新陽)
<野球を始めたキッカケは>
WBCと半分お父さんの影響。
<野球の楽しさ>
一つひとつのプレーをみんなで考えられるところが楽しい。
例えばサインプレーが決まった時とか、普段の練習の成果が表れた時も面白い。
<チームの良さを教えて下さい>
人数は多いけどみんな仲がいい。
試合でも互いに励まし合っているところがチームの長所です。
<三塁手として考えているところ>
速い打球が来るのでボールをそらさないようにしているところと外野との会話を多めにしている。
<打撃はどんなところが楽しい?>
鋭い打球を打てた時は楽しい。
<憧れのプロ野球選手は?>
宗山 塁(東北楽天ゴールデンイーグルス)
守備がなめらかでボールさばきが上手いところに憧れる。

ノックを受ける新陽ナイン
<スイングスピード測ってみた>
今年から学童用バットを使用して、選手のスイングスピードを競い合う企画を始めました。
使用されるバットは、長さ80センチ、重さ560グラムという学童用バットを使ってスイングスピードに挑戦しました。

スイングスピード測ってみた!に挑戦した新陽スターズナイン
★第1位 131キロ
〇中山 颯生(なかやま りゅうき)
5年・右投げ、右打ち
156センチ、74キロ
★第2位 113キロ
〇粥川 尊(かゆかわ たける)
5年・右投げ、右打ち
153センチ、41キロ
★第3位 112キロ
〇井平 向(いひら こう)
5年・右投げ、右打ち
142センチ、43キロ

スイングスピード測ってみた!写真左から粥川、中山、井平(新陽)
<発行人>
地域の枠を越えて成長を支える――「強く、楽しく」を掲げる新陽スターズの挑戦
札幌市北区に拠点を置く学童野球のクラブチーム・新陽スターズ。
地域に根差した少年団とは異なり、居住地に関係なくどこからでも選手を受け入れることができる柔軟なチーム体制は、今の時代に合った新たなスタイルとして注目されている。
現代の多様化が進む中で、子どもたちや保護者が自分に合ったチームを選ぶことが当たり前になりつつある。
従来の「地域で決められた少年団に入る」という常識から一歩踏み出し、「もっと本気で野球に取り組みたい」「より成長できる環境を選びたい」というニーズが高まっている。

バッティング練習に励む新陽ナイン
新陽スターズはまさに、そうした変化に柔軟に対応し、札幌市内はもちろん、近隣市町からも選手が集まる人気チームへと成長している。
異なる地域から集まった選手たちがともに汗を流し、切磋琢磨する環境は、技術的な向上だけでなく、人としての幅も広げてくれる。
多様な出会いや交流が、チーム全体の活力にもつながっている。
チームを率いるのは、就任5年目を迎えた井上太監督。
指導の根底には「常に感謝の気持ちを忘れずに」という理念があり、選手たちに技術を教えるだけでなく、“人としての成長”を強く意識した指導が行われている。
スローガンに掲げるのは「強く、楽しく」。
野球を通して強くなること、そして何よりもその過程を楽しむこと。
厳しさの中にも楽しさがあり、楽しさの中に学びがある。
そんなバランスの取れたチーム環境が、新陽スターズの魅力だ。
子どもたちの可能性を最大限に引き出す土壌が、ここにある。
新陽スターズは、次世代の野球少年・少女たちの夢と成長を力強く支え続けている。

低学年もしっかり練習に励んでいた(新陽)