旭川明成、春に涙も…夏へ誓う再出発――“立派な敗戦”が胸に刻んだ価値

写真・旭川明成提供
「旭川明成、春に涙も…夏へ誓う再出発――“立派な敗戦”が胸に刻んだ価値」
第26回全国高等学校女子硬式野球選抜大会に出場した旭川明成高校女子硬式野球部が、2回戦で絶対王者・神戸弘陵高校と対戦。
好投手・阿部さくら投手を打ち崩せず、0-6で敗退となった。
悔しさを滲ませながらも、大場優監督は「夏への価値ある敗戦」と前を向いた。
選手たちはこの悔しさを糧に、次なる舞台へ挑む。
◆2回戦(20日、加須きずなスタジアム)
旭川明成(北海道)0-6神戸弘陵(兵庫県)
旭川明成
0000000=0
011031x=6
神戸弘陵
(旭)角田、糠谷、石田-櫻井
(神)阿部、石井-山本
▽三塁打:矢島、早川(神)
▽二塁打:山本(神)

写真・旭川明成提供

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第26回全国高等学校女子硬式野球選抜大会(埼玉・加須きずなスタジアム)の2回戦で、北海道代表・旭川明成高校女子硬式野球部が神戸弘陵高校(兵庫)と対戦。
強豪を前に果敢に挑んだが、0-6で敗れ、春の舞台から姿を消した。
試合後、大場優監督は開口一番、「今日の敗因は監督の差です」と自らに矛先を向けた。
「指導者として最初の赴任先だった神奈川県・私立相洋高校コーチ時代(23~27歳)、まだ駆け出しだった頃、横浜高校や桐光学園の戦いぶりを見て学んだことを思い出した」と、神戸弘陵の戦いぶりを称えつつ、自身の原点とも重ねた。
先制点は神戸弘陵によるホームスチール。
二回に奪われた1点が、試合の流れを変えた。
続く攻撃でも着実に加点し、まさに“100戦錬磨”の強さを見せつけられる展開に。
一方、旭川明成打線も決して状態が悪かったわけではない。
しかし、相手のエース・阿部さくら投手の持ち球115~120キロのキレあるボールと、制球力の前にチャンスをものにできず凡打の山を築いてしまった。
阿部投手は防御率1.69を誇る全国屈指の好投手。
旭川明成は打席の中での対応力に課題を残し、実戦感覚のズレも影響したと見られる。
「あと少し仕上がっていれば…」。そう悔しさをにじませつつも、大場監督は「これはハンデではなく、向き合うべき課題。選手とともに前進していきます」と語った。
そして最後に力強く言葉を紡いだ。
「夏に向けて価値ある敗戦だった。立派な負けも高校野球の神髄。ただ、ただ、夏には必ずリベンジします。」
旭川明成ナインは、3月21日に帰道。
4月から練習を再開し、5月のGW明けから始まる北海道リーグ(参加・北海道女子硬式野球部4校、札幌国際大、ホーネッツ)に照準を合わせる。
リーグ戦は7月上旬まで続き、その後、7月下旬に最後の夏・全国選手権大会が開幕する。
春の悔しさを胸に、再び全国の舞台でリベンジを果たす――旭川明成の挑戦は、もう始まっている。

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<発行人>
“リベンジ”は未来への誓い――胸に刻む春の敗戦
大場監督が言った「立派な敗戦」――この言葉が胸に響く。
勝つことはもちろん大切だ。
しかし、負けの中にこそ、次へつながる価値があると改めて感じさせてくれた。
神戸弘陵の野球は、まさに百戦錬磨。
だが、それに立ち向かった旭川明成ナインの姿もまた、十分に胸を打つものだった。
“リベンジ”――この言葉を、悔しさの代名詞ではなく、「未来への約束」として語る監督と選手たち。
旭川の春風に乗って、彼女たちの夏が始まる。
球春は、まだこれからだ。
協力:旭川明成高等学校・女子硬式野球部

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