旭川明成、結成後初の春全国勝利!粘りの一打と継投で歴史を刻む

【第26回】選抜トーナメント
旭川明成、結成後初の春全国勝利!
粘りの一打と継投で歴史を刻む
第26回全国高等学校女子硬式野球選抜大会が3月17日に埼玉県で開幕し、北海道代表・旭川明成高等学校が大会初戦で地元・埼玉県立大宮商業高等学校に4-2で勝利。
チーム結成以来、春の全国大会での初勝利を飾った。
逆転打やスクイズ、継投による粘りの戦いで、記念すべき一勝を掴んだ旭川明成。
次戦は3月19日、優勝候補・神戸弘陵学園との大一番に挑む。

ピンチな場面でマウンドに駆け寄る旭川明成ナイン
◆1回戦(17日、行田市総合公園野球場)
旭川明成(北海道)4-2大宮商業(埼玉県)
旭川明成
0002011=4
0010001=2
大宮商業
(旭)角田、糠谷 -櫻井
(大)竹中、水村-星川
▽二塁打:伊藤(大)、櫻井(旭)
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春の全国舞台で、旭川明成高等学校がついにその名を刻んだ。
3月17日、埼玉県で開幕した第26回全国高等学校女子硬式野球選抜大会。
北海道代表の旭川明成が、地元・埼玉県代表の大宮商業高校と対戦し、4-2で勝利。
春の全国大会ではチーム結成後、待望の初勝利を手にした。
1点を追う四回、流れを変えたのは4番・櫻井妃愛(3年・札幌シェールズ出身)だった。
センター前に鋭い打球を放ち、同点に追いつくタイムリーヒット。
チームを勢いづける一本となった。

冷静にスクイズを決めた斉藤(旭川明成)
さらに、一死満塁の好機に7番・斉藤 陽(2年・Gratias wish BC出身)が冷静にスクイズを決め、2-1と試合をひっくり返した。
追加点が入ったのは六回。
四球で走者を出し、再び斉藤がレフト前ヒットで一死一・二塁とチャンスを広げると、8番・設楽琉衣(3年・旭川DIANA出身)がレフト前タイムリー。
3-1とリードを2点に広げ、これが決勝点となった。
六回裏には1点を返され3-2と迫られたが、七回にも貴重な追加点を奪って4-2と突き放し、試合を決定づけた。

先発マウンドを託された角田投手(旭川明成)

好リリーフを見せた糠谷投手(旭川明成)
投げては、先発・角田帆菜(2年・函館BBC VENUS出身)が落ち着いた立ち上がりを見せ、後半は糠谷香苗(3年・JBC札幌出身)がリリーフで登板。
冷静なピッチングで相手の反撃を封じた。
試合後、大場優監督は「想定通り、初戦は苦しい試合になると思っていました。その中でも投手陣がよく頑張ってくれた。特に糠谷は一年前、初戦先発でコールド負けを喫した悔しい経験がある。その彼女が、この試合で見事に成長を見せてくれた。精神的にも本当に大人になった」と、感慨深く語った。
さらに「ロースコアに持ち込めたことが勝因。女子野球は守備が崩れて大量失点することが多いが、今日は投手が踏ん張り、バックがそれを支えてくれた。こういう形で勝つ野球を続けたい」と語り、守りの野球への手応えを感じていた。
次戦は、全国女子硬式野球界の絶対王者・神戸弘陵学園。
昨年・一昨年と連覇を果たしている強豪との対戦となる。
大場監督は「次は3点勝負に持ち込みたい。向かっていくだけです」と気を引き締めた。
「今日の大宮商業さんは投手を中心に良い守りを見せる、素晴らしいチームでした。こういう相手に勝てたことが、チームにとって大きな経験になります。この1勝で、選手たちはまた一段と成長できたと思います」と振り返るように語った。
北の大地から挑む若き力が、次はいよいよ最強に挑む。

ベンチ前で大場監督の話に耳を傾ける旭川明成ナイン

大場監督(旭川明成)
夢を諦めない—ケガと向き合う阿知良梓佑の挑戦 「中学最後の夏、130キロのストレートを目指す」
<発行人>
挑戦者のまなざし、その先へ――旭川明成、次なる高みへ
旭川明成の春全国初勝利。
試合後、選手たちの笑顔には、これまでの努力の日々と、悔しさを乗り越えてきた軌跡がにじんでいたに違いない。
糠谷選手が、1年前に涙を飲んだコールド敗退のマウンドから、堂々とリリーフで勝利を締めくくった姿は、まさに“成長”そのものだった。
試合後、大場監督が語った「精神的に大人になった」という言葉は、胸に深く響いた。
野球は、心を育てるスポーツなのだと、あらためて教えてくれた一戦だった。
守って、つないで、勝ちきる。
雪深い旭川市にある同校の選手たちが、久しぶりのグラウンドで、しかも全国大会という大舞台でノーエラー。
一方、相手の大宮商業もエラーはわずか1つという、非常に締まったゲームだった。
華やかな長打がなくても、美しい野球はある。
旭川明成は、それを証明してくれた。
そして次戦、いよいよ王者との対決が待っている。
彼女たちの瞳は、すでにその先を見据えていた。
挑戦者として、胸を張って、堂々と立ってほしい。

全国の舞台で堂々の初勝利を挙げた旭川明成ナイン