肩が痛い、肩が抜けそう・・・、
前回までのシリーズ『野球肩って何!』どうして起こるのか・・・?から今回は不安定肩についてドクター岡村に聞いた!
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シリーズ『野球肩って何!』
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第5話
みなさんこんにちは、羊が丘病院整形外科の岡村です。前回は肩の外傷性(けが)での肩の前方不安定症についてお話ししました。今回はけがとは関係なく肩がもともと“ゆるい”ために、投球時に肩が痛い、肩が抜けそうな感じがするといった症状が出る、非外傷性不安定症(不安定肩)についてお話しします。
不安定肩が野球の投球動作でどうして起こるかということから話します。投球動作を繰り返すと肩の前後方向にストレスが加わり、小さな傷が肩の関節包に起きます。そうすると、もともとの関節包のゆるみが増幅され肩が不安定になることが考えられます。生まれつき関節の柔らかい(医学的には全身関節弛緩性があると言います)選手が不安定肩になりやすいと言えます。症状は投球時での肩の亜脱臼感(抜けそうな感じ)や痛みです。不安定性が強い場合はボールを投げる動作以外でも痛みや亜脱臼感を訴えます。不安定性の方向により症状が異なります。
ⅰ)前方不安定症
肩が前方にゆるくなった状態で投球動作の加速期からリリースで抜けそうな感じや痛みがあります。けがが原因で前方に脱臼、亜脱臼したものではなく、もともとの肩の前方のゆるみが投球動作による前方へのストレスで増幅されて症状が出現します。
ⅱ)後方不安定症
肩が後方にゆるくなった状態で投球動作のフォロースルー期に肩の痛みや違和感を訴えます。ボールを投げる動作で肩が後方に亜脱臼することが原因です。後方不安定症の人を診察すると手を前に挙げていく(万歳をする動作)と90度付近から肩の後方に痛みや違和感を訴えます。症状が強いと何もしなくても痛みや違和感(だるい感じ)を訴えます。
ⅲ)多方向性不安定症(MDI: Multi Directional Instability)
肩不安定性が前方、後方、下方のいずれにも起きたものです。前方あるいは後方の不安定症の症状に下方不安定性の症状が加わります。下方不安定性の症状としては重いものを持ったり、腕が下に引っ張られるようなストレスが加わると肩関節が下方に亜脱臼し疼痛や違和感が生じます。
治療
1.保存治療:不安定性の軽いものは投球をひかえて肩を休めてあげることや肩のリハビリテーション(腱板、肩甲周囲周囲筋訓練:図)で症状が良くなります。
2.手術治療:手を挙げるだけで簡単に肩が後に亜脱臼するものや、体全体の関節がもともと非常にゆるくて肩の不安定性が強い人には手術が必要となる場合があります。手術は関節鏡を用いてゆるんだ関節包を縫い縮める鏡視下関節包縫縮術を行います。関節鏡視下手術は、1)低侵襲、2)術後の肩の動きの制限が少ない、3)早期の復帰が可能である、などの利点を有しています。これまでに我々が行った肩不安定症に対する関節鏡手術の成績では90%がスポーツ復帰しています。
【リハビリ室スタッフ紹介】
リハビリテーション科
●工藤 睦子(25歳)
~スポーツとの関わり~
小学校3年生から始めた柔道を、中学・高校・専門学校まで柔道一筋!
そして何と二段の腕前!
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医療法人社団 悠仁会 羊ヶ丘病院
札幌市豊平区月寒東1条19丁目1番1号
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