【センバツ観戦の楽しみ方】 “どさん子球児”の挑戦が胸を打つ――健大高崎×明徳義塾に6人の北海道出身者

甲子園球場
【センバツ観戦の楽しみ方】
“どさん子球児”の挑戦が胸を打つ――健大高崎×明徳義塾に6人の北海道出身者
センバツ甲子園は、ただの全国大会ではない。
北海道の高校が出場していなくても、私たち“どさん子”にとっては、楽しみ方がある。
それは、道産子球児たちが自らの実力を武器に、未知なる地で勇気をもって挑み、その競争の中で勝ち得た結晶を見届けること――それこそが、もうひとつの観戦の醍醐味ではないだろうか。
その思いを強くさせてくれる試合があった。
健大高崎(群馬)VS 明徳義塾(高知)――。
試合は一進一退の攻防の末、大会連覇を目指す健大高崎が延長10回タイブレークで3対1の勝利。
激闘の末、2回戦進出を決めた。
この好カードには、なんと両チーム合わせて6人の“どさん子球児”が出場していた。
健大高崎には、よく知られた4人の北海道出身選手たち。
優勝旗返還の大役を担った主将・加藤大成(札幌新琴似シニア-札幌ファイヤーズ出身)。
そして、この試合で先発し、延長10回を投げ抜いたのは下重賢慎(釧路シニア-美原ベースボールクラブ出身)。
堂々たるマウンドさばきが光った。
本来なら今大会注目のエースとして期待されていた石垣元気(洞爺湖シニア-柏木ジュニアーズ出身)は、左わき腹の故障で登板回避。
もう一人、投手王国の一角を担う山田遼太(札幌新琴似シニア-新琴似スラッガーズ出身)も、登板は次戦以降に持ち越しとなったが、その存在感は健在だ。
一方で、明徳義塾にも“どさん子”が2人いることをご存知だろうか?
0-1と1点を追う5回、明徳の3番打者・藤森海斗(明徳義塾中-根室野球少年団出身)が放った同点タイムリー三塁打は、まさに圧巻。
振り出しに戻す貴重な一打だった。
さらに、藤森とともに中学時代から明徳に進んだのが、平井麗朱(明徳義塾中-東16丁目フリッパーズ出身)。
かつて中学時代は“平井-藤森バッテリー”として高知発祥で注目を集めたコンビが、甲子園の舞台で再び並び立つ姿に、胸が熱くなる。
甲子園で輝く彼らの姿は、決して偶然でも奇跡でもない。
北海道から飛び出し、環境も文化も違う地で努力を積み重ねてきた、確かな歩みの証だ。
センバツを観るとき、ただ結果だけを追うのではなく、こうした“故郷を離れて挑む若者たち”のドラマにも、ぜひ心を寄せてほしい。
彼らも、北海道球児の“希望”であり、“誇り”なのだから。