丑年だから牛の皮の話
【札幌市南区の野球専門店】スポーツショップ古内の社長
古内克弥のコラム No.98
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丑年だから牛の皮の話
こんにちは、古内克弥です!
いつもコラムをお読みくださいまして、ありがとうございます。
2021年!
丑年ですね!
牛といえば、グラブの革!
そう思われている方も、一人くらいはいらっしゃるのではないかと思います(笑)
以前もストライクで紹介したことがあったと思いますが、
今回は牛の皮についてコラムを書かせていただきます!!!
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牛の皮の利用
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皮の利用は人類の歴史とともにありまして、
その歴史はなんと約200万年前の旧石器時代にまで遡ります!
体毛が少ない人類が寒冷な気候の中を生き延び、
世界中に広がる家庭で、寒さやさまざまな障害から
身を守るには動物の皮が必要だったんです。
今でこそ、
SDGsというスローガンで
「サステナブル(持続可能な)!」
と言っていますが、この皮こそ、
人類最古のサステナブル素材として今日まで使われてきているのです!
皮から革への製造は、
人類最古の製造業の1つなんだそうです。
動物の皮を剥ぎ取って、そのまま着る。
ということを想像すると・・・
なんだか腐っていきそうな気がしますよね・・・
そこで、
「皮(かわ)」を「革(かわ)」に変える
「なめし」という技術が編み出されたわけです。
最初のなめしは
皮を叩いたり、手や足で揉んだりして柔らかくするところから始まり、
煙によるいぶしや、動植物の油に漬け込むことも行われました。
紀元前には、
・植物タンニン
・ミョウバン
によるなめしも行われました。
この中でも、
植物タンニンによるなめし方法が長い間なめしの主流であったそうですが、
現在では、クロムによるなめしが主流となっております。
現在では、
革は主に食肉産業からの副産物を利用したもので、
私たちが肉を食べる以上、原料は無限にあることになります。
その中でも、牛は革として最も多く利用されてきた家畜動物であります。
人口の増加とともに、牛の飼養頭数は年々増加し、
2018年には世界で約15億頭 が飼養されています。
このうち約3億頭が一年間にと畜され食肉となり、
この際に算出された皮が
・革
・ゼラチン
・コラーゲンなどに利用されています。
革の代表格であり、古くから最も革製品に利用される牛の皮。
仔牛の皮から成牛の皮まで大きさ、厚さ等が異なる多様な皮が使われます。
最も多く使われる成牛は、大判で厚みがあり、
強度や耐久性に優れ、安定した品質の革が得られます。
現在も
靴、鞄、ハンドバック、財布、ベルト、家具、カーシート、馬具など
様々な用途で使われています。
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皮から革へ
大まかな流れ
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<原皮水洗い〜脱毛石灰漬>
水漬けをして吸水させた皮を、石灰に漬け、毛、表皮、脂肪など、革となる コラーゲン以外の不要物を除去。皮は膨らみ、繊維がほぐれます。
表皮がなくなった面が皮の表面。(=銀面)
<なめす>
用途に応じて皮を任意の厚みに分割した後、
クロムなめし、
タンニンなめしなどの方法で皮を安定化させ、様々な耐久性を持たせる。
この段階で皮から革へと呼称が変わります。
<再なめし・染色・加脂>
用途に応じた特性を持たせるよう彩奈飯を行い、希望する色に染色し。皮に柔らかさを付与するため加脂を行う。
<整える>
過剰な水分を取り除くと同時に皮を伸ばす→ 乾燥させる→ 乾燥した皮をほぐして柔らかくする→。 平らな状態で乾燥させ形を整える。
<仕上げ>
塗装による方法とバッティングによる方法に大別される。前者は塗装によって最終的な色に調整し、アイロンなどでツヤを出したり、型押しで様々な模様を施す。後者はスエード、ベロア、ヌバックなどに仕上げる。
図でまとめてみますとこんな感じです。
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代表的な革の種類
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グラブにも使われる革の代表的な種類をご紹介します。
『カーフ』
国産牛皮では、生後6ヶ月以内の仔牛の皮を指します。
銀面はなめらかできめ細かく声も細く柔らかいです。
まさに赤ちゃんです。そのため、高級素材として使用されています。
カーフを用いた野球用品の代表作はこちらです。
革底のスパイクの高級品に使われることがありましたが、
グラブではほとんど使われることはありません。
『キップ』
生後6ヶ月から1年程度の中牛の皮。カーフに比べると劣るが、表面はなめらかできめ細かいです。カーフよりも厚く、汎用的に使われます。
キップレザーは、とってもキメが細かく、自分の手に密着感が感じられる素材で、硬式のグラブの高価格帯の物に使われることが多いです。
牛がまだそれほど大きくない状態の時に皮になったものですから、革として取れる部分が少ないため、高価なのです。
『ステア』
性別などによって分類され、ステアハイド、ブルハイド、カウハイド、和牛などがあります。
ステアレザーは、グラブとして使われることが最も多い素材です。
また、グラブの革として使われる皮は、北米産の牛を使うことが多いです。
和牛を使うグラブは、実はそれほど多くはありません。
こちらは数少ない国産の和牛(宮崎和牛)を使ったメーカー。
食べたら美味しいのでしょうか・・・?
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仕上げ
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さて先ほど、『仕上げ』と言う工程についてもご紹介しましたが、
代表的な仕上げ方法をご紹介します。
【革本来の特徴を生かした仕上げ】
〜オイルレザー加工
革にオイルを多量に染み込ませた革。
エイジング効果が高く水に強いのが特徴。
使い込むほどに独特の風合いが生まれます。
グラブには、オイルレザーが多く使われます。
〜ウォッシュ加工
洗い方や絞り方によって趣の異なる表情が現れる加工方法。
使い込んだような自然な風合いを出すことが可能。
【傷を目立たなくし色落ちを抑える仕上げ】
〜顔料仕上げ
顔料を多く用いて仕上げる。
塗膜の厚さは比較的暑く耐久性が良好。
傷や色ムラをカバーし均質な着色ができる。
〜ガラス張り
かつて革をガラス板に張って乾燥させたことから呼称。
現在は金属板に貼って乾燥させ、
表面をサンドペーパーで処理した後、塗装仕上げ。
表面は均一でやや固めに仕上がる。
【起毛して風合いを出す方法】
〜ベロア
成牛など大きな革の裏面を毛羽立たせ、ソフトな質感が特徴。
同じ起毛革であるスエードよりも、やや長い毛羽で粗く仕上がる。
〜ヌバック
表面を目の粗いサンドペーパーなどで短く毛羽立たせた革。
毛足が非常に短くしなやかで柔らかい肌触りが特徴。
【特殊な加工】
〜シュリンク革
なめしの段階で薬品によって革の表面を収縮させ、独特のシワを施したもの。
傷など表面にある欠点を隠すことができます。
〜型押し革
革の表面に凹凸を刻印した金属面を押し当て、
加熱・加圧によって様々な凹凸模様をつけた革。
これで色んなデザインも楽しめますね。
さて、かなり長くなってしまいました。
牛の話で気付けば4000文字も書いていました(笑)
いつもこんな長い文章をお読みいただき、感謝します。
また、お役立ち情報をお届けしたいと思います!
今後ともよろしくお願いいたします!
今回のコラムはいかがでしたか?
まもなくコラムも100回目です。
さすがに何か記念イベントでもできないかなぁなどと思っております。
読者の皆様が喜ぶようなイベント。
どんなイベントかなぁ。
こう言うことを色々考えるのも楽しいものですね。
今回も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
↑感想、質問、「こんな話が聞きたい」などございましたら、こちらまで!
――――――――――<コラム著>――――――――――

古内克弥氏
株式会社スポーツショップ古内
代表取締役社長 古内克弥
1982年4月15日生まれ
小学5年生の時に家業であるスポーツショップ古内の販売をお手伝いした時に、接客の楽しさを経験し、将来の夢を「スポーツショップ古内をでっかくする」に設定する。
サッカー、バレーボールをメインに15種目ほどの競技を学び、大学で経営学を学んでゼット株式会社に入社。
ゼット株式会社では、グラブ工場で一年間グラブ製作に携わり、グラブの知識を覚える。
三年間の修行を経てスポーツショップ古内に入社する。
2017年、代表取締役社長に就任。
札幌市のスポーツ&カルチャーフェスティバル「スポカル」の副実行委員長もつとめ、スポーツ普及に携わる。
学校や企業への講演依頼も年に10回ほど受け、経営、マーケティング、地域活性化などのテーマで話をしている。
バックナンバー
No.1 「綺麗な肌は好きですか?」
No.2「将来の夢はグラブ職人!?」
No.3「お手入れのコツは「手洗い」
No.4「グラブづくりイベント」
No.5「赤ちゃんに学ぶ、外角低めの克服法」
No.6「グラブのポジション別の特徴」
No.7「グラブ作りに挑戦!」
No.8「投手用グラブ タテ型派、ヨコ型派をわかりやすく解説」
No.9「失敗しないグラブ選び(2-1)」
No.10「失敗しないグラブ選び(2-2)」
No.11「バットの種類と違い」
No.12「バットの種類と違い2:複合バットについて」
No.13「源田選手のグラブについて」
No.14「野球セール ベースボールフェア予告」
No.15「新軟式ボールについて」
No.16〜17はセールの予告でした。
No.18「専門店のグラブの提案の仕方」
No.19「流行りのアンダーシャツ」
No.20「新発想のスパイク誕生!ブロックソール」
No.21「ブロックソールは中学校、高校でも使えるの?」
No.22「肘・肩・怪我予防ブレイスレボサポーター」
No.23.「中学軟式野球春季大会 古内杯 をレポート」
No.24.「塁間が0.1秒速くなる靴紐の結び方」
No.25.「塁間が0.1秒速くなるシューズのサイズの選び方」
No.26.「グラブの深さの見分け方」
No.27.「スポカルのご案内」
No.28.「スポカル」
No.29.「人気のドナイヤが仲間入り」
No.30.「ドナイヤポジション別<グラブ>のご紹介!」
No.31.「ドナイヤ ポジション別グラブのご紹介-2」
No.32「ドナイヤ ポジション別グラブのご紹介-3」
No.33「ドナイヤ ポジション別グラブのご紹介-4」
No.34「僕とアイピーセレクトの出会い」
No.35「2019年秋の新商品【グローブ】」
No.36古内社長のホームページ活用法
No37守備率10割のグラブ、その名も「ウィルソン」
No.38.「守備率10割のグラブ その名も「ウィルソン」その2」
No.39「守備率10割のグラブ その名も「ウィルソン」その3」
No.40「ボールの投げ方「フォーシーム」「ツーシーム」」
No.41球の回転数と球質の重さについて
No.42スポーツショップ古内改装計画!
No.43創業感謝祭のお知らせ!
N0.44キャッシュレス決済の還元が凄い!
No.45鳥肌もののクオリティ【佐藤グラブ工房】のグラブ!
No46新商品のご紹介<フィールドフォース>
No47【佐藤グラブ工房】グラブとコラボレーション
No48ゼットの源田選手モデルの型
No49思い出のカード
No50お手入れにおける「ブラッシング」の重要性
No51イベント告知! 「ウィンターマラソン2020IN滝野すずらん公園」
No.52グラブハウスがオープンします!
No53日本一オシャレな野球専門店に教わりました。
No542020年もよろしくお願いいたします。
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